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相続争いの代表的主張“寄与分”をご存知ですか?
2018.04.27

・相続人たる両親と頻繁に会っていた人とそうでない人
・家業を手伝っていた人とそうでない人
・両親を献身的に看病した人とそうでない人

これらの人々が相続人となった場合、相続分は同じ(同額・同割合)でしょうか?

上記の問題は“寄与分”という制度に関係します。
今回は、この寄与分の意味や、認められるための要件の概要などをお話しします。

問題が生じる場面とは?

まずは、3人の兄弟の会話をもとに、寄与分の主張が生じる場面を見てみましょう。

一美:「私は毎週のように実家に帰ってお母さんの面倒をみてたのよ。お母さんが入院した後も頻繁に病院へお見舞いに行って看病してたんだから! 1年に1回も帰って来なかったあんた達と相続金が同じなんて不公平じゃない!」

二郎:「それは、たまたま姉ちゃんが実家の近くに住んでたからだろ。子どもが親の面倒をみるのは当たり前だし、看病したことと相続割合は関係ないよ!」

三郎:「いや、おふくろは最後までプライドが高かったし、確かに姉ちゃんは大変だったと思う。姉ちゃんの頑張りを無視するのは不公平だよ。だけど俺だって、おふくろが買った北海道のアパートの管理を任されてたんだから、アパートは俺が相続するべきだと思うけど?」

二郎:「それもお前がたまたま北海道に転勤になったからだろ。しかも管理って言ったって、不動産管理業者との事務連絡だけで、ほとんど業者に任せっきりだったじゃないか。」

一美&三郎:「遊びまわってる二郎には言われたくない!!」

一美と三郎が主張しようとしているのは、法律用語でいうところの“寄与分”に関する主張です。
一美と三郎の主張は法的に認められるのでしょうか? 
それとも、自由気ままに生活してきた二郎に分があるのでしょうか?

寄与分とは?

では、先ほどから何度か出てきている“寄与分”について、ご説明します。

寄与分とは、民法上に定義規定はありませんが、一般的には『相続財産の維持・増加に貢献(寄与)した相続人の相続分について、他のそうでない相続人よりも優遇しようとする制度』と説明されます。

今回の事例でいえば、“一美と三郎の主張が認められるのならば、二郎よりも優遇して遺産を相続させましょう”という制度です。
では、寄与分が認められるためには、どのような要件を満たす必要があるのでしょうか?

寄与分が認められる要件とは?

寄与分については、民法904条の2に規定があります。

同条第1項『共同相続人の中に……被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした者があるときは、……相続分に寄与分を加えた額をもってその者の相続分とする』。

この規定をみると、寄与分が認められるためには、少なくとも以下の3つの要件を満たす必要がありそうです。

(1)相続人の行為が特別の寄与といえること
(2)被相続人の財産が維持又は増加されたこと
(3)寄与行為と財産の維持又は増加に因果関係が認められること(=寄与行為によって財産が維持・増加されたこと)

では、(1)でいう“特別の寄与”とは、どのようなことを指すのでしょうか。

この概念も民法上に定義規定はありませんが、一般的には、『被相続人との身分関係に基づいて通常期待されるような程度の貢献を超えるような貢献』と説明されます。

配偶者間や親族間には相互扶助義務があります(民法752、877条参照)。
この義務の範囲内の行為は、通常の相続分で評価され尽くされていると考えられています。
そのため、寄与分の主張を認めさせるには、親族間などで通常期待される扶助行為を超える特別の貢献が求められるのです。

今回のケースはどうなる?

上記を踏まえて、各当事者の主張を検討してみましょう。

1. 一美について
週に1回、実家に帰って両親と一緒に過ごした程度では、親族間に期待される通常の扶助行為の範囲内と評価され、寄与分の主張は認められない可能性が高いでしょう。
また、実家に帰って両親と一緒に過ごした程度では、両親の財産が維持・増加されたとも評価され難いのです。
もっとも、両親が要介護認定4ないし5程度の認定を受けて介護の必要性が高かったにもかかわらず、業者に依頼せず自身で介護していた場合は、“特別の寄与による財産の維持”が認められる可能性が高くなります。

また、両親の入院後は、専ら病院のスタッフが両親を看護するでしょうから、一美が赴いてフルーツを切ったり、トイレへ付き添ったりした程度では寄与分の主張は認められない可能性が高いのです。

2. 三郎について
両親に代わって両親の所有物件を管理していたという主張を聞くと、三郎は両親の財産管理行為を代替した、あるいは両親の事業に従事したといえ、寄与分の主張が認められるようにも思えます。

しかし、三郎が行った行為を具体的に検討すると、不動産管理業者との事務連絡のみであり、自身が不動産管理行為を一手に引き受けたわけではありません。
この場合は、特別の寄与行為と認定される可能性は低いといえます。
また、そもそも不動産管理業者と契約して手数料を支払っているのですから、三郎が手伝ったことで両親の財産が維持・増加したとは評価されない可能性が高いのです。

まとめ

道徳的に考えると、二郎は自由奔放に生活し、一美や三郎は両親を手伝っていたのですから、一美や三郎の主張を認めてもいいように思えます。
しかし上述の通り、調停や審判で寄与分の主張を認めさせるには一定のハードルがあり、感情的な主張を繰り返すだけでは寄与分を認定させることはできないのです。

“どのような事情があり、どのような資料があれば寄与分の主張が認められるのか”。
その判断は、個別かつ具体的に行う必要があります。
そのため、寄与分の主張を検討されている方は、専門家に相談することをおすすめします。

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