事業承継成功のために(10) ~新・事業承継税制の留意点~

事業承継の新税制は従前税制と比べて、税務メリットがとても大きくなっています。
さらに、それぞれの要件も大幅に緩和されたため、利用しやすくなりました。

そのため、前向きに検討している人も多いのではないでしょうか。
しかし、税制の利用に際しては以下の6つの留意点があります。税制の要件とともにご紹介します。

事業承継税制の要件と利用の際の留意点とは

1. 5年以内に申請が必要
 新税制は、2027年12月末日まで、相続でも贈与でも利用できます。ただし、5年以内(2023年3月末日まで)に都道府県知事に対する承継計画の提出が必要です。

2. 3年要件に注意
 事業承継税制には3年という期間要件が多く見られます。
(1)贈与の場合=後継者が役員就任してから3年以上かつ20才以上
(2)資産管理会社の例外要件=3年以上継続して商品販売等の事業を行っていること
(3)現物出資・贈与の3年規制=同族関係者から現物出資又は贈与により取得した贈与前3年以内の資産が承継会社の資産時価合計の70%以上のときは承継税制等の適用を受けることができない。5年以内の申請を考えると、3年要件を満たすためには早急な着手が求められます。

3. 改正後事後要件に注意
 新税制においても、事後要件(贈与・相続後も遵守すべき要件)がありますが、特に以下の要件に留意しましょう。
(1)5年間は代表者を辞められない。
(2)5年間は承継した株式を売却できない。つまり、対象とした株式は持ち続ける必要がある。

4. 相続への切り替え時の要件に注意
 贈与時に要件を満たしていても、将来の相続時(切替時)にも要件を満たす必要があります。

5.株式評価減対策が必要
 納税を猶予されていた場合であったとしても株価対策は必要です。事後要件に違反して猶予された税金の納付が発生した場合や相続税の計算方法の問題(相続税は累進課税で計算されるため、株価が高いと株式以外の資産に対する税額が増加する)などがあり、株価はできるだけ低くしておいた方が有利です。したがって、ほかの方法との組み合わせによる株式評価減対策等は必要となります。

6. 多面的なアプローチが重要
 事業承継は税制面だけに注力すると失敗するケースも多くなります。税制面に加えて、ビジネス面、社会動向面、金融面からの多面的なアプローチが重要です。

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