もしあなたが突然死んでしまったら、どうなると思いますか?
「悲しむ親・兄弟、路頭に迷う家族がいます」という人もいれば、「“おひとりさま”だから気楽なもの……」という人もいるかもしれません。
しかし、あなたが亡くなった後、家族や遺産の有無にかかわらず、遺された者は事務手続などで大変な目に遭う可能性があるのです。
そこで、今回はあなたの死後、遺族が行わなければならない手続きをご紹介します。
死後14日以内に行う事務手続とは
あなたが亡くなったとき、家族はまず、医者や警察を呼ぶでしょう。
医者にあなたの死亡診断書を書いてもらい、死後7日以内に役所に届け出て、火葬許可証をもらいます。
そして、葬儀社やお寺などを手配して、通夜と葬儀を済ませ、火葬します。
葬儀費用は、平均して200万円ほどかかるともいわれます。
独居だった場合、通報を受けた警察が、住民票や戸籍をたどって6親等の親族まで連絡をします。
また、連絡を受けた人が、代わりに上記のような対応をすることになります。
葬儀が終わると、遺族は死後14日以内に、あなたの保険証などを返納して、資格喪失手続を行う必要があります。
会社の健康保険に加入していた場合は、会社に返納します。
また、国民年金は死後14日以内に、厚生年金は死後10日以内に、年金受給の停止手続も行わなければなりません。
年金事務所に事前に予約を入れて、死亡診断書のコピーやあなたの年金証書を持参します。
このほか、死後14日以内に行う作業として、世帯主の変更や、住民票の抹消手続もあります。
いずれも役所で行いますから、死亡の届け出と一緒にやれば手間は省けますが、あなたを亡くして間もない遺族にそこまで頭が回る余裕はなかなかないものです。
期限内に確定申告と相続税の手続きを
更に必要な手続きは、税金の申告です。
まず、死後4カ月以内に、あなたの確定申告と納税を行わなければなりません。
これは“準確定申告”といって、その年の1月1日からあなたが死亡した日までの所得金額や税額を計算して申告するものです。
あなたが不動産を持っていれば、固定資産税の納付も必要となります。
また、死後10カ月以内に、相続税の申告と納付も行います。
遺族があなたの財産や負債をすべて把握できているとは限らず、遺品をひっくり返して整理しなければならないことは容易に想像できるでしょう。
しかも、相続税は一括で納付しなければならず、期限内に納付できないと延滞金が発生します。
受け取るお金と出ていくお金の内訳とは?
あなたが生命保険に加入していれば、保険金を受け取るために保険会社に問い合わせる必要があります。
遺品から保険証書を探し出し、あなたの通帳やクレジットカードの明細も見て、保険料の引き落としがないか確認します。
あなたが預金口座を持っている銀行や、証券口座を持っている証券会社に連絡して、口座を止める手続も必要です。
あなたの遺品から通帳、あるいは郵便物から証券会社の残高報告を見つけて、一つずつ対応しなければなりません。
水道・光熱費や携帯電話代など、あなたが生前利用していたサービスの費用も、遺族は郵便物や通帳、クレジットカードの明細などから調べ上げ、個々に連絡を入れて解除の手続を取る必要があります。
受け取るお金と出ていくお金が一通り把握できたら、ようやく遺族はあなたの遺産をどうやって分けるかを話し合うスタート地点に立ちます。
話し合いがスムーズに進まなければ、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てなければなりません。
以上が、あなたの死んだ後、遺された者がやらなければならない作業の概略です。
これだけでも「迷惑をかけるかも……」と思っていただけるでしょうし、実際の作業はもっと大変です。
だからこそ、生きている今やっておいて欲しいことはただ一つ、自分の財産を整理して遺言書を書いておくことなのです。
※本記事の記載内容は、2019年8月現在の法令・情報等に基づいています。