「子どもや孫に財産を贈与したら、税金がいくらかかるのかわからない」など悩んでいる人も多いのではないでしょうか。今回は、贈与税はどのようなときにかかるのか、贈与税はどのようなものに対してかかるのかなど、贈与税の仕組みについて説明します。
贈与とは、贈与者(財産をあげる人)が財産を受贈者(財産をもらう人)に無償で与える契約です。この贈与により個人が個人から財産を取得したときに、受贈者に課せられる税金が『贈与税』です。
この贈与税の課税方式には『暦年課税』と『相続時精算課税』の2種類があります。通常の贈与には暦年課税を適用しますが、贈与者や受贈者の年齢によっては暦年課税に代わり相続時精算課税を選択することができます。そして、贈与税と切っても切れない関係にあるのが相続税です。相続開始前3年以内の贈与を除き(2024年1月1日以降の贈与に関しては、相続開始前7年以内)贈与者が亡くなった時の相続税の計算上、暦年課税を選んだ場合は原則として相続財産の価額に贈与財産の価額を加算する必要はありません。しかし、相続時精算課税を選んだ場合は、相続財産の価額に贈与財産の価額(贈与時の時価)を加算して相続税額を計算する必要があるので、理解しておきましょう。
贈与税は原則として、贈与を受けた現金や預金、株式などの有価証券、不動産などのすべての財産に対して課税されます。ただし、夫婦や親子、兄弟姉妹などの扶養義務者から生活費や教育費に充てるために贈与を受けた財産で通常必要と認められる範囲内のものについては、贈与税はかかりません。また、会社など法人から贈与を受けた場合は、贈与税ではなく所得税の課税対象となります。
なお、保険料負担者以外の者が生命保険金を受け取った場合(被保険者が保険料を負担していたものは相続税の対象)や、借金返済等の債務免除により利益を受けた場合、相場より著しく低い価格で不動産等の財産を譲り受けた場合などは、贈与を受けたものとみなされて贈与税が課税されることもあります。以上をふまえ、贈与や贈与税の仕組みについて理解を深め、うまく活用していきましょう。