相続トラブルを防ぐためにも お盆の帰省で話し合いを

年々増えている相続トラブルの多くは、コミュニケーション不⾜に原因があります。このようなトラブルを防ぐためにも、お盆などで家族が集まる機会に、相続について話し合いをしておきましょう。今回は、相続に備えた話し合いのポイントなどについて紹介します。

相続トラブルの主な原因は家族間のコミュニケーション不⾜

 全国の家庭裁判所の遺産分割事件数は⻑期的に増加傾向にあり、相続におけるトラブルは他⼈事
ではなくなってきています。『令和3年司法統計年報』によると、遺産分割事件のうち認容・調停
成⽴件数(『分割しない』を除く)6,934件のうち、『遺産の価額』が1,000万円以下のものは
2,279件(約30%)もあり、相続トラブルは必ずしも裕福層だけのものではないということがわか
ります。

 相続トラブルの原因の多くは家族間のコミュニケーション不⾜にあります。仲のよい家族であっても、相続は話題にしにくいため、家族間での意思疎通ができていないまま親の死を迎えることは珍しくありません。その結果、遺産分割で揉めてしまうのです。

 このような相続トラブルを防ぐためには、親と⼦が、相続について話し合いをしておくことが重要です。親は⾃⾝の意向を⼦ども達に正確に伝えその考えを家族で共有することが、将来のトラブルや対⽴を回避することにつながります。

 新型コロナウイルスの影響などで、近年は複数⼈数で集まる機会が減少していましたが、親族の集まりなども再開されつつあります。家族で集まり、相続について話し合うにはよい機会かもしれません。

相続に備えて親と⼦で話し合っておきたい内容とは︖

 相続に備えて、まずは財産や法定相続⼈を明らかにすることが重要です。相続が発⽣した後に予期していなかった財産や相続⼈が⾒つかると、相続で揉める原因となります。

 財産については不動産、現⾦・預貯⾦、有価証券などの保有財産だけでなく、借⾦など負債についても明確にしておく必要があります。そのうえで資産状況や経済状況から遺産として継承する財産は何かを確認します。

 また、法定相続⼈については、親の前妻や前夫との間に⽣まれた⼦や、親が認知した⼦がいないかを確認しましょう。これらの⼦にも相続権があります。その存在を明らかにし、可能であれば連絡先を把握しておくとよいでしょう。

 これらの財産や相続⼈の状況をふまえ、相続が発⽣した場合の財産の承継や配分について決めておくことも重要です。まず、親はみずからの意向を家族にはっきりと打ち明けておきます。また、配分を決めるときには、親の意向や⼦どもの希望を共有したうえで⼗分な話し合いを重ねていきましょう。特に不動産や動産などの資産は物理的に分割することが困難なものが多いため、誰かが引き継ぐのか、共同で相続するのか、それとも売却して⾦銭を分けるのかなどを決めておくことが⼤切です。

 このようにして家族全員が相続についての共通認識をもつようにすれば、相続トラブルは防ぐことができます。親の⽣前から相続権のある⼈の存在を確認し、今ある相続財産の分け⽅を話しあい、相続をスムーズに⾏うための準備を⾏っていきましょう。