2023年12月22日、『令和6年度税制改正大綱』が閣議決定されました。今回の改正では、ニュースでも話題となった所得税・個人住民税の定額減税などの内容が盛り込まれています。大綱から贈与税等に係る内容を一部抜粋して紹介します。
『令和6年度税制改正大綱』における相続・贈与・資産税に関する項目の大きなものとしては、『事業承継税制の特例措置に係る特例承継計画等の提出期限の延長』、『土地に係る固定資産税等の負担調整措置』、『住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直し』の三つがあります。
『事業承継税制の特例措置に係る特例承継計画等の提出期限の延長』
①法人版事業承継税制(特例措置)の特例承継計画の提出期限を2年延長
②個人版事業承継税制の個人事業承継計画の提出期限を2年延長
特例承継計画および個人事業承継計画の提出期限が、ともに令和8年3月31日まで2年延長されました。しかし、各計画の提出期限が延長されただけで、この特例措置の令和9年12月末までとされている適用期限は、今後も延長を行わない方針と与党は示しています。そのため、事業承継を検討している中小企業および個人事業者に対して、適用期限が到来することを見据えて、早期に事業承継に取り組むようにと呼び掛けています。
『土地に係る固定資産税等の負担調整措置の延長』
令和6年度は3年に一度の固定資産税評価額の評価替えの年であり、令和6年度評価替えでは負担水準のばらつきが拡大することが見込まれています。そのため、税負担の公平性等の観点から、段階的に負担水準の均衡化を進めるため、令和5年度までの予定だった「負担調整措置」「条例による減額制度」「下落修正措置」について令和8年度まで3年間負担調整措置の仕組みが継続されます。
『住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置の見直し』
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、以下の変更が行われます。
①適用期限を3年延長
※60歳未満の贈与者であっても選択できた住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税制度の特例措置の適用期限も同様に延長されます。
②省エネ等住宅の要件について、新築の場合の要件の一部が現行の「断熱等性能等級4以上または一次エネルギー消費量等級4以上」から、「断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上」へ見直し(令和6年1月1日以後に贈与により取得する住宅取得等資金に係る贈与税について適用)
※震災特例法の贈与税の非課税措置についても同様の措置がなされます。
このほか、新築住宅や耐震改修等を行なった住宅に係る固定資産税の減額措置の適用期限が2年延長されます。
該当するものがある場合、専門家などに相談しながら期日に余裕をもって、手続きを進めていきましょう。
※この記事は1月末時点の情報に基づいています。税制改正の内容について正式決定は3月以降となります。