相続税の負担を極力減らして 家族に財産を引き継ぐ方法とは?

相続が発⽣したときに、少しでも相続税の負担を軽減して家族に財産を引き継ぐには、⽣前に相続税対策を⾏うことが必要になってきます。今回は、相続税対策を⾏ううえで重要なポイントや、相続税対策として有効な贈与の⾮課税制度と注意点などについて紹介します。

相続税対策を⾏ううえで重要な3つのポイント

 相続税は原則、相続するすべての財産が対象となり、相続財産の⾦額が⼤きいほど税額が⾼くなります。相続税の対策をする場合、①相続財産を減らす、②相続財産の評価額を⼩さくする、③相続税の仕組みをうまく利⽤する、の3つのポイントが重要です。相続税は、相続財産の額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続⼈の数)を超える場合、その超える部分が課税対象となるため、相続財産を基礎控除額の範囲内に収めることで相続税を回避することができ、そのためには遺⾔、暦年贈与、⺠事信託などが有効な場合があります。

 遺⾔では、⼩規模宅地等の特例など相続財産の評価減が適⽤できるように財産の分割を指定できます。暦年贈与では、年間110万円の贈与税の基礎控除額内で贈与税をかけずに財産を減らせます。判断能⼒があるうちに信頼できる⽅に財産の管理を託せる⺠事信託では、遺⾔とは違い、⼆次相続以降も財産を誰に残すか決めることができます。

贈与を活⽤するにはお互いのタイミングが重要

 有効な贈与には、暦年贈与のほかに、相続時精算課税制度、贈与税の配偶者控除、教育資⾦の⼀括贈与、結婚・⼦育て資⾦の⼀括贈与などがあり、⼀定額まで贈与税が⾮課税となります。ただし、これらの制度を利⽤するには、受贈者の年齢などの要件を満たす必要があります。
 
 相続時精算課税制度は贈与者である⽗⺟・祖⽗⺟などが60歳以上、受贈者である⼦、孫、曾孫などが18歳以上であること、教育資⾦の贈与は受贈者が30歳未満の⼦、孫、曾孫などであること、結婚・⼦育て資⾦の贈与は受贈者が18歳以上50歳未満の⼦、孫、曾孫などであることなどが要件です。

 贈与税の配偶者控除を利⽤する場合は、婚姻期間20年以上の夫婦であることが要件とされています。贈与税の⾮課税制度や相続税の評価額減の特例などを活⽤し、相続税の負担を軽くして家族に財産を引き継ぐことができるよう、⽅法やタイミングなど、専⾨家に相談して進めましょう。