安心した老後のために活用できる高齢者向けの給付金や制度を紹介

所得の少ない⾼齢者が対象の『⾼齢者向け給付⾦(年⾦⽣活者等⽀援臨時福祉給付⾦)』は、2016年度に⼀度⽀給されただけで現在は実施されていません。しかし、ほかにも⾼齢者が活⽤できる給付⾦や制度があります。こうした給付⾦や制度の概要について紹介します。

所得が少ない⼈の⽣活を⽀援3種類の年⾦⽣活者⽀援給付⾦

⽼後⽣活の収⼊の柱になるのが年⾦ですが、その年⾦収⼊などの所得が⼀定基準以下の⼈に対し、⽣活の⽀援を⽬的として年⾦に上乗せされる給付⾦が、『年⾦⽣活者⽀援給付⾦』です。この給付⾦は、受け取っている年⾦によって3種類あり、⽀給要件と給付⾦額(⽉額)は次の通りです。

①⽼齢年⾦⽣活者⽀援給付⾦
 ⽀給要件は、(ⅰ)65歳以上の⽼齢基礎年⾦の受給者であること、(ⅱ)同⼀世帯の全員が市町村⺠税⾮課税であること、(ⅲ)前年の公的年⾦などの収⼊⾦額とその他の所得との合計額が87万8,900円以下であることの3点です。給付⾦額は、⽉額5,310円を基準に、保険料納付済期間と保険料免除期間に応じて算出される額の合計額です。

②障害年⾦⽣活者⽀援給付⾦
 ⽀給要件は、(ⅰ)障害基礎年⾦の受給者であること、(ⅱ)前年の所得が472万1,000円以下であることの2点です。給付⾦額は、障害等級2級の⽅が⽉額5,310円、1級の⽅が⽉額6,638円です。

③遺族年⾦⽣活者⽀援給付⾦
 ⽀給要件は、(ⅰ)遺族基礎年⾦の受給者であること、(ⅱ)前年の所得が472万1,000円以下であることの2点です。給付⾦額は、⽉額5,310円です。
 これらの給付⾦の⽀給を受けるには、それぞれすべての要件を満たす必要があります。
 物価⾼騰により家計が苦しくなった住⺠税⾮課税世帯等に対して、政府や⾃治体から『臨時特別給付⾦』などが⽀給されることがあります。18歳以下の⼦どもがいる住⺠税⾮課税世帯または住⺠税均等割のみ課税世帯には、⼦ども1⼈あたり5万円が⽀給される『⼦ども加算』などもあります。

住宅のリフォームや定年後に利⽤できる制度や給付⾦も

 また、⾼齢になり⾃宅を住みやすいようにバリアフリー仕様にリフォームする場合には、介護保険の『⾼齢者住宅改修費⽤助成制度』を利⽤すると、⽣涯20万円を限度額とし⼯事費⽤の最⼤9割(上限18万円)が⽀給されます。ただし、利⽤するには、要介護または要⽀援の認定を受けていることなどが要件となります。
 雇⽤保険制度では、たとえば60歳で定年退職となり継続雇⽤や再就職により、賃⾦が60歳時点または前職の75%未満に低下した場合などに、定年後の収⼊の減額を補うため、60歳以上65歳未満の⼀般被保険者に対して、『⾼年齢雇⽤継続給付』として2種類の給付⾦が⽀給されます。

①⾼年齢雇⽤継続基本給付⾦
 基本⼿当を受給せずに雇⽤を継続する場合に⽀給されます。被保険者であった期間が5年以上あることなどの要件があります。給付⾦額は、⽀給対象⽉の賃⾦に⽀給率(賃⾦の低下率により異なり、61%以下の場合は15%)を乗じて算出されます。

②⾼年齢再就職給付⾦
 基本⼿当を受給し再就職した場合に⽀給されるもので、再就職した⽇の前⽇における基本⼿当の⽀給残⽇数が100⽇以上あること、基本⼿当についての算定基礎期間が5年以上あることなどの要件があります。給付⾦額は、⾼年齢雇⽤継続基本給付⾦と同じ基準で、⽀給期間は、基本⼿当の⽀給残⽇数が200⽇以上の場合は、再就職⽇の翌⽇から2年(100⽇以上200⽇未満は1年)を経過する⽇の属する⽉までとなります。
 このような国の制度を活⽤しつつ、⾃助努⼒によって資産形成に取り組むことが⼤切です。