長寿化により「人生100年時代」といわれる現在、長くなった老後の期間の生活資金をどのように確保したらよいのか気になるところです。今回は、安定した老後生活を送るために、定年退職した後でも、収入を得るための方法について紹介します。
長寿化によって定年後のセカンドライフが長くなると、その分の生活資金が必要となってきます。年金を受給できるまでの待機期間だけでなく、年金受給開始後にも年金だけでは生活資金が不足す
る場合には、それまで蓄積してきた資金を取り崩していくことになります。
安心して老後を過ごすためには、生活資金を確保することが必要になりますが、そのためには、定年退職後も働き続けて収入を得ることも選択肢の一つです。近年では、60歳以降の生活費を就業による収入でまかなう傾向が高まっています。
定年後も働いて収入を得るには、同じ会社での継続雇用か、別の会社への再就職かの大きく2つの選択肢があります。現在は、「高年齢者雇用安定法」により、事業者には65歳までの雇用確保措置を講じる義務に加え、さらに70歳までの就業機会の確保が努力義務とされています(経過措置あり)。このため、60歳で定年を迎えると、同じ会社での継続雇用制度によって働くことを選択する人が多くなっています。この制度を利用すると、今までと同様の職場環境で仕事ができ、また定年後すぐに働けるので安心して働くことができます。
一方、定年退職後に別の会社に就職することは、これまでと異なる環境で仕事をするなど不安な面はありますが、今までのスキルや経験を活かせる仕事に就くことで高水準の収入を得られる可能性もあります。趣味や特技を副業にすることで、そこから追加収入を得るという方法もあります。
このように、老後の生活資金の不安を解消するためには、定年後も自分にあった働き方を選ぶことにより収入源を確保することが重要となります。
働くこと以外に、お金や資産を運用することで、老後の生活資金を確保することもできます。お金の運用方法には、株式投資、不動産投資、投資信託、貯蓄型保険などがあり、それぞれの特徴は次の通りです。株式投資は、株価の動きにより大きなリターンを得ることができる反面、リスクも大きいです。不動産投資は、安定的に賃料を得ることができますが、多額の初期投資が必要です。投資信託は、投資の専門家が分散投資して運用するため、自分で株式投資をするよりリスクは低くなりますが手数料が株式投資よりも高額な傾向があります。貯蓄型保険は、保険料を積み立てながら保険金を受け取れますが、途中解約すると損失を被ることがあります。運用で老後の生活資金を確保しようとする場合には、リスクを理解した長期的な視点での投資を積み重ねることが大切です。
資産の運用では、持ち家があれば、リースバックやリバースモーゲージによって資金を調達することができる場合があります。リースバックは、持ち家を売却して資金を手に入れ、その後は賃借人としてそのまま住み続ける方法で、リバースモーゲージは、持ち家を担保にして資金を借りる方法です。持ち家があれば、お金が必要になったときに資金調達することが期待できますので、選択肢の幅が広くなります。
老後は、社会との接点を目的として自分が無理のない範囲で働くのもよいですが、病気などで働けなくなる場合も出てきます。そのようなときでも生活に困ることがないように、今ある資産を有効活用し、お金に働いてもらってお金を生み出す運用も検討してみてはいかがでしょうか。