今加入している生命保険が満期になった場合、その後の保険はどうすればよいでしょうか。一般的に生命保険は加入年齢に制限がある場合が多いですが、高齢でも加入できる保険もあります。今回は高齢者が新たに生命保険加入時に気をつけるポイントを説明します。
生命保険は、基本的に加入年齢に制限が設けられており、何歳になっても加入できるというわけではありません。また、健康状態によっては加入できない保険もあります。そのため、加入している保険が満期を迎えて、その後の保険をどうしたらよいか悩む高齢者の方もいらっしゃるでしょう。
加入年齢の上限は保険商品によって異なり、多くの商品は60歳代または70歳代を上限にしていますが、80歳を過ぎても加入できる商品もあり、高齢者でも新たに生命保険への加入はできます。
ただし、高齢者が加入を検討する場合には、デメリットもあります。年齢が高くなるほど病気や怪我などのリスクも高くなるため、多くの保険商品で保険料が高く設定されており、定年後に収入が少なくなってから加入する場合、保険料の負担が大きくなります。また、加入には保険会社の審査があり、健康状態によっては保険に加入できないこともあります。特に、認知症になってからは保険に入れないケースが多く見られます。
なお、高齢者は身体機能や認知能力が低下することも多いため、一般社団法人生命保険協会の「高齢者向けの生命保険サービスに関するガイドライン」では、会員である生命保険会社各社が、高齢者に対して保険商品を提供する場合には、より丁寧な対応をすることが望ましいとの指針を示しています。なお、日本は公的医療保険制度が充実していますので、高齢者は医療費の負担が抑えられています。70歳以上の医療費は、収入によって1~2割の負担になったり、高額療養費制度が活用できたりするので、民間の医療保障がある保険に加入する必要があるか否か、検討してもよいでしょう。
一方、高齢者の生命保険加入には、次のようなメリットがあります。まず、自身の葬儀費用のために利用してもらうことができます。亡くなったことが金融機関に伝わると預貯金口座が凍結されるため、遺族を受取人にすることで葬儀関連費用などに保険金を充てることができます。また、遺された配偶者や家族の生活資金のために利用してもらうこともできます。特に、配偶者と2人、年金で生活している場合、どちらかが亡くなると年金収入が減るため、保険金で配偶者の生活費の負担を軽減することができます。そして、生命保険は相続対策として活用することも可能です。
生命保険が相続対策として有効なのは、相続税の軽減が可能になるためです。契約者と被保険者が同一の場合の死亡保険金は相続財産とみなされ相続税の課税対象になりますが、法定相続人が受け取る場合、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。財産を現金や預貯金で相続する場合には非課税枠や特例がないので、生命保険の加入は相続税軽減につながります。また、死亡保険金は、生前の被保険者が有する財産ではないため相続財産にはあたらず、受取人固有の財産となるため、原則として遺産分割協議の対象にならず、遺留分算定の財産にも含まれないので、受取人を指定することで特定の人に確実に財産を渡すことができます。保険金は比較的短期間で受け取れるため納税資金などの確保にも役立てられます。
生命保険は、加入条件があるため、状況によっては加入できないこともありますが、メリットもあります。どのような保険を選べばよいか判断に困ったときなどには、専門家に相談しましょう。