家族が亡くなると、遺族は、国や自治体の公的制度などからさまざまな給付金を受け取ることができます。今回は、一般にどのような種類の給付金を受け取ることができるのか、そして、それらの給付金を受け取るための要件や手続きなどについて紹介します。
はじめに、家族が亡くなった場合に、遺族が国や自治体などの公的な制度から一般的に受け取ることができる主な給付金について紹介します。ただし、故人の死亡時の年齢や家族構成などによって、遺族が受け取れる給付金は異なります。
まず、葬儀に関する給付金として、故人が国民健康保険や後期高齢者医療保険に加入していた場合には「葬祭費」、健康保険や各種共済組合に加入していた場合には「埋葬料」が支給されます。また、死亡前の医療費が自己負担限度額を超えていた場合、遺族が「高額療養費」を請求できます。
年金制度では、一定の保険料納付要件を満たす年金加入者の遺族に対して「遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)」、または「死亡一時金」か「寡婦年金」が支給されます。また、故人に支給されていない年金(「未支給年金」)があれば、条件を満たす遺族が請求できます。ひとり親などの養育者を対象に、児童の養育のために都道府県や市、福祉事務所を管理する町村などから「児童扶養手当」を支給される場合もあります。
このような公的な制度のほかにも、給付金を受け取れることがあります。たとえば、任意で故人を被保険者とする生命保険に加入していた場合は、受取人に対して「死亡保険金」が、医療保険などに加入していた場合にも「死亡給付金」や「医療保険給付金」が支給されることがあります。また、故人が会社に勤務していた場合には、慶弔金制度による「弔慰金」や退職金制度による「死亡退職金」が支給されることがあります。こうした給付金を受け取るには、保険会社や勤務先の会社に連絡して請求の手続きをすることが必要です。
「葬祭費」は、葬儀を行なった者が葬儀を行なった日の翌日から2年以内に、「埋葬料」は、故人により生計を維持されていた埋葬を行う遺族が死亡日の翌日から2年以内に申請する必要があります。また、「高額療養費」の請求は、診察を受けた月の翌月初日から2年以内です。
「遺族基礎年金」は、故人によって生計を維持されていた子のある配偶者または子(18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある方)が、「遺族厚生年金」は、故人により生計を維持されていた遺族のうち優先順位が最も高い人が、受給できます。また、「死亡一時金」は、故人と生計を同じくしていた遺族が死亡日の翌日から2年以内に請求する必要があります。「寡婦年金」は、10年以上継続して婚姻関係(事実婚を含む)にあった夫によって生計を維持されていた妻が、死亡日の翌日から5年以内に請求することで60歳から65歳になるまでの間受給することができます。
そして、「未支給年金」は、年金受給者と生計を同じくしていた3親等以内の親族が、死亡後受給権者の年金支払い日の翌月の初日から5年以内に請求する必要があります。なお、「児童扶養手当」は、手当の支給を受ける権利を行使できるときから2年を経過した場合には、時効によって消滅すると法定されているので、注意が必要です。
家族が亡くなった後も、遺された家族は生活が続くため、経済的な負担を少しでも軽くできるよ
う、受け取れる給付金があれば積極的に活用しましょう。そのためには、条件や期限などを確認して、必要な手続きを進めることが大切です。