不動産の取引や課税の指標として各種の不動産評価額が公表されていますが、それぞれ、評価額の目的や、その額を決定する主体、発表時期などが異なります。今回は、不動産評価額の概要や、不動産を購入することによる相続時の節税効果について紹介します。
不動産評価額は、固定資産税などの税金や不動産の取引価格を決定する際に指標となるものです。不動産評価額には次の5種類があり、目的に応じて適切な評価額を利用することが重要です。
①固定資産税評価額
固定資産税を算出するためのもので、建物は建築費の約60%、土地は公示地価の約70%で評価
②公示地価(標準地1㎡あたりの地価)
国道交通省が公表する適正な地価を形成するためのもので、土地売買の際の指標となる
③基準地価(基準地1㎡あたりの地価)
公示地価を補完するためのもので調査主体は都道
府県、公示地価とは評価・発表時期などが異なる
④相続税路線価
贈与税や相続税算出時の基準となり、土地が面する道路に設定され、公示地価の約80%で評価
⑤実勢価格(時価)
不動産売買時の参考となる実際の不動産取引価格
不動産が相続税対策として効果があるのは、一般的に現金を不動産に変えることで、総資産の相続税評価額が低くなる傾向があるからです。相続税の計算では、相続財産を相続開始時点の相続税評価額で評価します。現金の評価額は時価ですが、不動産の評価額は、建物については固定資産税評価額、土地については主に路線価に基づいて算定されるため、基本的に時価よりも低くなる傾向があり、相続税の負担が軽減されることがあります。
相続財産のなかでも不動産は大きな金額を占めることが多く、その評価額は相続税額を大きく左右します。土地の形状や建物の使い方などによっては相続税評価額を減額することができる場合がありますが、その評価方法は複雑です。そこで、専門家に不動産の評価を依頼することで適正な評価額を求めることができ、評価を見直すことで相続税を抑えられる可能性があります。相続財産に含まれる不動産の評価は、慎重に判断しましょう。