早めの対策がカギ! 生前贈与と相続税の基礎知識

相続税対策の基本は、相続税の課税対象となる相続財産を減らすことです。保有する財産を生前に家族などに贈与することは、相続税対策として有効な手段となり得ます。今回は、生前贈与の基礎知識や相続税対策における活用方法、注意点などを紹介します。

生前贈与の基礎知識贈与税は受贈者に課税される

 生前贈与とは、贈与者が生きている間に自身の財産を子や孫などに無償で譲り渡すことです。生前贈与により、相続財産を減らし、相続税を軽減する効果が期待できますが、贈与を受けた人(受
贈者)に贈与税が課税される点に注意が必要です。贈与税の負担は相続で財産を取得する場合の相続税よりも、税の負担が大きくなることがあるため、計画的に行う必要があります。しかし、生前贈与
には、以下のような非課税制度があり、これらの活用で、税の負担を抑えることができます。

①暦年贈与:受贈者一人につき年間110万円までの贈与が非課税

②相続時精算課税制度:贈与者一人につき累計2,500万円までが特別控除の対象で、非課税枠を超えた贈与額には20%の税率で課税

③配偶者控除:婚姻期間が20年以上の配偶者に対する居住用不動産やその取得資金の贈与では、最高2,000万円まで非課税

生前贈与と相続税対策贈与の非課税制度を利用する

非課税制度以外にも、住宅取得等資金の贈与、教育資金の一括贈与、結婚・子育て資金の一括贈与といった特例も利用できます。これらの制度は、それぞれ一定の要件を満たせば、一定額まで贈与税が非課税となります。

 生前贈与を行うことで、相続財産を減らして、相続税の負担を軽減できるため、相続税対策として有効です。また、特定の人に確実にその財産を譲り渡すことができるため、遺産分割対策としても有効です。

 ただし、生前贈与を行う際には、贈与税の課税や贈与後の財産管理など注意すべき点もいくつかあります。

 生前贈与は、相続税対策としてだけでなく、家族への思いを形にする手段としても有効です。自身の状況に合わせて、専門家へ相談するなどして、適切な生前贈与の計画を立てることをおすすめします。