判断能力の低下前に検討したい 成年後見制度で財産を守る方法

⾼齢化が進む⽇本では、相続と成年後⾒制度は密接に関係しています。判断能⼒が低下した⽅の財産を守り、相続トラブルを防ぐためには、成年後⾒制度の正しい理解と活⽤が不可⽋です。今回は、相続対策における成年後⾒制度の役割と重要性を説明します。

成年後⾒制度とは︖相続対策との関係性

 成年後⾒制度は、認知症などで判断能⼒が低下した⽅の財産管理や⾝上監護を⽀援する制度です。この制度には法定後⾒と任意後⾒の2種類があり、法定後⾒は判断能⼒が低下してから、任意後⾒は判断能⼒が⼗分なうちに将来の認知症などによる判断能⼒の低下に備えて利⽤します。成年後⾒⼈に選任された者は、本⼈に代わって、適切な財産管理を⾏うことになります。

 遺⾔書の作成や⽣前贈与などの相続対策は、判断能⼒が⼗分であることが前提です。しかし、判断能⼒が低下すると、本⼈の意思で財産の分配や承継を⾏うことがむずかしくなります。

 この問題を解決する⼿段として成年後⾒制度を利⽤すれば、本⼈の意思を尊重しつつ、適切な財産管理と相続対策を進めることができます。ただし、成年後⾒制度は、利⽤開始後には原則として解除することができないため、慎重な判断が求められます。

相続トラブルを回避する成年後⾒制度の具体的活⽤事例

 たとえば判断能⼒が不⼗分な⽅が遺⾔書を作成した場合、相続開始後にその有効性が争われ、親族間の対⽴や訴訟に発展することがあります。これを防ぐためには、遺⾔書を作成する時点で判断能⼒が⼗分であることが求められます。法定後⾒開始後に本⼈が新たに遺⾔書を作成する場合には、意思能⼒が必要とされるため、すべてのケースで有効な遺⾔を残せるとは限りません。ただし、後⾒⼈が財産管理を適切に⾏うことで、相続トラブルのリスクを軽減できることがあります。また、任意後⾒契約を利⽤し判断能⼒があるうちに適切な相続税対策を講じることで、将来、円滑な財産承継につなげられます。

 成年後⾒制度は、判断能⼒が低下した⽅の財産保護と、相続トラブルの回避に寄与する重要な制度です。⾼齢化が進むなか、その必要性はますます⾼まっています。成年後⾒制度の活⽤も視野に⼊れ、専⾨家へ相談することも検討しましょう。