相続を放棄する? 放棄しない? 正しい知識で後悔しない選択を

相続において「相続放棄」という選択が年々増加しています。その背景には、高齢化、空き家問題、負動産の増加といった社会的課題があると考えられます。今回は、相続放棄を選択する際の注意点などを紹介します。

相続放棄の基礎知識何が放棄されるのか

 相続財産には、不動産や預貯金などのプラスの財産だけではなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も含まれます。相続には、以下の3つの選択肢があります。
①単純承認:すべての相続財産を引き継ぐ
②限定承認:プラスの財産を限度にマイナスの財
産を引き継ぐ
③相続放棄:すべての財産を引き継がない

 近年、高齢化や空き家問題、負動産の増加を背景に、相続放棄の事例が増加しています。
 
 相続放棄を行うには、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります。相続の放棄をした者は、初めから相続人とならなかったものと
みなされ、以下のような影響があります。
・放棄した相続人の子などは代襲相続できない
・共同相続の場合、ほかの相続人の相続分が増加
・単独相続の場合、次順位の相続人に権利が移転

実際に相続放棄を行う際に注意すべきポイントとは

相続放棄の手続きの流れは、次の通りです。
 ①相続財産の調査と法定相続人の確定、②「相続放棄申述書」を作成し、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出、③家庭裁判所から送付される照会書に、回答を記載し返送、④相続放棄が認められると「相続放棄申述受理通知書」が送付されます。これで、手続きが完了します。

 被相続人の財産を不用意に処分すると、相続を承認したとみなされるリスクがあるため、相続財産には手をつけないことが重要です。相続放棄は撤回ができないため、慎重な判断が求められます。ただし、詐欺や強迫などによる場合は例外として相続放棄の取消しが認められることがあります。2024年4月から不動産の相続登記が義務化されたことで、その登記に伴う費用負担や手続きの煩雑さが増し、相続放棄を選択する相続人が増える可能性があります。相続放棄の判断を行う際には、専門家に相談することをおすすめします。