相続税の申告書を提出したら、申告書に書かれた税額を納付します。納付する場所は金融機関(銀行、郵便局)、所轄税務署になります。
納付の際には、納付場所に備え付けてある納付書に、住所、氏名、納税額、申告書を提出した税務署名などを記入して、窓口で納付をしてください。
自宅や事務所からインターネットバンキングを通じて納税する電子納税を利用することも可能です。
利用するには手続きが必要になります。
納付期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月目の日までに納付します。
間違いが発生して、更生の請求や修正申告をしたりして改めて相続税を納付する場合は、次のような期限があります。
となります。
納付期限に間に合わなかったり、遅れたりした場合には、法定納期限(相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月目の日)の翌日から、納付の日までの延滞税を申告した相続税と一緒に収める必要があります。
延滞税の計算式は次の通りです。
なお特例基準割合とは、日本銀行が定める商業手形の基準割引率に年1%の割合を加算した割合をいいます。
たとえば、2012年(平成24年)1月29日に相続が開始したことを知った場合、相続税の納付期限は2012年の11月30日になります。
この日に納付できずに、12月20日に納付したとします。この場合、2カ月以内なので2.のパターンが適用されることになります。
2012年12月の特例基準割合は年4.3%。これに+1%の加算をすると5.3%になります。
年利7.3%と5.3%のいずれか少ない割合で延滞税を計算するので年利5.3%で日割り計算となります。
仮に納付する相続税が100万円だとしたら、1日あたり、145円の延滞税が課税されます。
延滞期間は20日なので相続税100万円と延滞税は2904円(小数点四捨五入)を同時に納付する必要があるのです。
なお、相続税は原則として、お互いに連帯して納税しなければならない、という義務があります。
たとえば、相続人のなかでお金に非常にルーズな人がいて、自分が払わなければならない相続税の納税をしていない場合、他の相続人は、相続によって利益を受けた範囲を限度として連帯して納付義務を負います。
つまり、他の相続人にも督促状が来るとともに、延滞税までもが加算されるのです。
そのようなことがないように、払わないような人がいたらきちんと注意して納めさせるようにしましょう。
相続税は現金で納付することが原則ですが、現金で納付できない理由があることや一定の要件を満たしている場合は、延納や物納が認められています。
延納の要件としては、
で、延納期間が3年以下の場合は、担保を提供する必要はありません。
また、延納には、利子がかかります。利子のことを利子税といいます。延納できる期間と延納の利子税の割合は相続財産の不動産の価額によるとされています。
相続財産に占める不動産の割合が多ければ多いほど、延納できる期間も長くなりますし、利子税の割合も少なくなります。
相続財産に占める不動産の割合が少なければ少ないほど、延納できる期間も利子税も高くなります。
一方、延納ではなくて、物納を選択する場合は、現金で納付できない場合や延納できない場合に限られます。
また、物納の場合は、その財産が物納していいのかどうかの適格要件があるので注意が必要です。
たとえば、不動産の場合、担保権が設定されている不動産や境界が明らかでない土地、法定耐用年数が経過している建物がある不動産、権利関係が不明確で権利の帰属に対して争いがある不動産などは物納の財産として不適格とされて、物納することはできません。
それ以外にも細かい条件があります。
現金がないなら物納すればいい、などのように軽い考えでいると、実際に物納するときに条件が合わず、相続税を納税することができなくなってしまいます。
ですので、相続税は現金で納付できるように、相続が始まる前から納税資金を準備しておくことが大切です。
相続について、気になることや悩んでいることがございましたら、お気軽にご相談くださいませ。
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