複雑な家族構成の家庭は相続争いが起きやすい? 遺言書の内容を見直しておこう

最近は家族構成が複雑な家庭が増えてきています。

生涯独身で暮らす方や同性婚をした方、
若いうちに配偶者に先立たれた方など、例を挙げればきりがありません。

イレギュラーな家族構成だと、
相続時に問題が起こる可能性が高いので遺言書を作成しておくべきでしょう。

今回は、異母兄妹が相続争いをした事例をご紹介します。

妻に先立たれたあと再婚をした家庭

実業家である進さんは、自身が始めた事業で大成功をおさめました。

売上は毎年順調に伸びており、会社の資産は十分に蓄積されています。
また、資産運用の一環として不動産投資を行い、法人形態でいくつもの収益物件も所有しています。

進さん個人としての相続資産は、
主に「事業会社」と「不動産所有会社」の株式でした。

進さんは30歳のときに結婚し、長男の健司さんが生まれました。
悲しいことに、奥さんは若くして病死してしまい、45歳で新しい相手と再婚したのです。
後妻との間には長女の泉さんが生まれました。

健司さんと泉さんはいわゆる異母兄妹です。
自分の母親がいない健司さんにとって、実家は居心地が悪かったのかもしれません。

健司さんは成人してすぐに独立しました。
そんな中で進さんが急病で倒れてしまい、そのまま帰らぬ人になってしまったのです。

異母兄妹に均等な相続をしてしまった

進さんは遺言書を残していたのですが、

内容は「事業会社と不動産所有会社の2社の株式を、健司さんと泉さんへ均等に相続させる」というものでした。

つまり、2社は健司さんと泉さんの共有状態になってしまったのです。
会社の重要案件を決めるには3分の2以上の株式を有しておかなければいけません。

均等に相続してしまったために、どちらか1人が経営判断できない状態になってしまったのです。

健司さんと泉さんは2社の株式を均等に持ち合っていますが、共同で事業ができる関係ではありません。

健司さんは会社を経営してきた実績がありましたので、「事業会社の株は私が引継ぎ、不動産所有会社の株は譲ります」と泉さんに提案しました。

ところが泉さんはこの提案に応じません。
現在も、どうにもならない膠着状況が続いているようです。

今回の場合では、進さんは事前に健司さんと泉さんの意見を聞き、
事業会社を健司さん、不動産所有会社を泉さんに相続する旨を遺言書に記載しておくべきだったのです。

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