相続人の9割が失敗する相続準備(3) ~名義変更手続き~

相続時に相続人がすべきことの一つが、被相続人の財産を相続人に名義変更する作業です。
名義変更が必要なのは不動産登記のほか、預貯金や株式、会員権など多岐に渡り、相続が開始してからその数の多さにとまどう方がほとんどです。
今回は、この名義変更手続きについてご紹介します。

財産ごとに手順が異なり
手続きが煩雑

相続が始まると、被相続人が生前所有していた財産は相続人に引き継がれます。それらを相続人がそのまま使い続ける場合は、所有者が変わるため、名義変更が必要になります。
 
この名義変更が必要な財産は、非常に多岐に渡ります。
まずは、被相続人宛ての郵便物や通帳の取引履歴などを調べて相続財産を確定するとともに、名義変更が必要な財産をすべて洗い出さなくてはなりません。
 
この名義変更手続きには、多くの相続人が苦労しています。
それは、名義変更が必要な財産の数が多いうえ、手順や必要となる書類、手続き先、期間などがそれぞれ異なるからです。
  
たとえば不動産の所有権移転登記では、被相続人の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本や相続人全員の最新の戸籍謄本、遺言書または遺産分割協議書が必要となります。
遺産分割協議書を添付する場合には、さらに相続人全員の印鑑証明書も添付しなければなりません。遺言書がなければ、遺産分割協議をしてから名義変更の手続きとなりますが、遺産分割協議がまとまるのにも一定の時間がかかってしまうのです。

先延ばしになりがちな
不動産の名義変更

相続税の納税期限は10カ月となっていますが、名義変更自体は10カ月を超えてから行ったとしても罰則などはありません。

そのため、特に不動産などは、亡くなった被相続人名義のままにしているだけでなく、なかには数代に渡って名義変更をしていないケースもあります。
しかし、名義変更をせずに放置して時間が経つと、のちにさらに相続手続きが必要となったとき、相続人を全員割り出す作業が困難になったり、遺産分割協議を遡って行わなければならなくなったりと、名義変更までの手続きはさらに煩雑になってしまいます。

名義変更は、遺産分割が定まったら、できる限り早く取りかかりましょう。