相続手続きや遺産分割をスムーズに進めるには、生前の「資産の棚卸し」が欠かせません。あらかじめ棚卸ししておくことで相続人の負担を大きく減らすことができます。今回は、棚卸しの基本ステップとチェックポイント、家族で共有すべき情報などを紹介します。
元気なうちに資産の棚卸しを行うことは、相続対策の基本です。目的としては、相続開始時に手続きを円滑に進めるための「情報の見える化」のほか、資産の把握を通じて生前贈与や遺言書作成の判断材料にすること、さらに認知症リスクや突然の入院に備えて、家族が資産を把握できる状態を整えることなどがあります。「どこにどのような財産がどれだけあるのか」を整理しておくことで、家族の負担を軽減し、財産を確実に承継することが可能になります。
生前の棚卸しで整理すべき主な資産には、次のようなものがあげられます。なかには見落としやすい資産もあるため、漏れのないように注意しましょう。
・預貯金(ネット銀行を含む銀行口座)
・有価証券(株式、投資信託)
・生命保険、年金
・不動産(自宅、土地、収益物件)
・現金(タンス預金を含む)、貴金属
・借入金、保証債務
・デジタル資産(電子マネー、各種アカウント)
棚卸しは次の基本ステップに沿って定期的に行うと効果的です。
①口座や契約を一覧化する
銀行名や証券会社名など最低限の情報を記載する。
②残高や契約内容を確認する
通帳や契約書などの書類に基づき正確に確認する。
③書類の保管場所をまとめる
通帳や契約書などの書類の保管場所を決めておく。
④年1回の更新を習慣化する
資産は変動することがあるため、定期的に見直す。
棚卸しを行なったら、その情報を家族で共有することが重要です。特に必ず伝えておくべき情報としては、次のようなものがあります。
・主要口座の銀行名と支店名(少なくとも存在がわかるようにしておくことが重要)
・ネット銀行やネット証券の利用の有無
・保険証券や契約書、不動産の権利書の保管場所
・不動産の評価明細(固定資産税の通知書など)
・カードの引き落とし口座
・デジタル資産などのアカウント情報(共有する場合は管理方法に注意が必要)
こうした棚卸しを行う際には、家族が資産を把握しやすいように、次の点に注意しましょう。
①口座やカードの「断捨離」を行い、不要なものは解約する。
②タンス預金は家族が把握できないことが多いため、保管場所を明確にする。
③ネット口座やデジタル資産は、IDや利用サービスを一覧化する。
④パソコンのパスワードやスマホのロック解除の方法を書き残しておく。
⑤家族と共有する情報は必要最低限にとどめ、セキュリティに配慮する。
資産の棚卸しは、相続準備の第一歩であり、家族の安心につながる行動です。まずは、保有資産を一覧化することから始め、定期的な更新を習慣化しましょう。
不安な点や専門的な判断が必要な場合は専門家に相談し、早めに行動を開始することをおすすめします。