4.相続の最初の〆切は3カ月後に訪れる - 相続が発生してから相続税を申告するために行う8つのこと

相続が発生してから相続税を申告するために行う8つのこと~4.相続の最初の〆切は3カ月後に訪れる

「相続は事前に準備が大切です」という話をどこかで聞いたことがあるかもしれません。
なぜ事前の準備が必要なのでしょうか?
それは、相続にも〆切があるからです。〆切は大きく分けて2つあります。

ひとつは、遺産を相続するかどうかを決める〆切です。
これは相続がスタートしてから、3カ月後に訪れます。

もうひとつは、相続がスタートしてから10カ月後に訪れる、相続税の申告と納付の〆切になります。
ちなみに、遺産を相続する権利を持っている人を「相続人」といいます(遺産を残す人は被相続人)。

一般的には配偶者と子どもですが、子どもがいない場合、亡くなった人の孫やご両親が相続人になります。
孫やご両親がいない場合、亡くなった人の兄弟姉妹が相続人になる場合があります。
これらの相続人がそれぞれ相続の方法を選ばなければなりません。

どのように相続をするかどうかを決めます

遺産を相続するかどうかという方法は、大きく分けて次の3つです。

  1. 「単純承認」
  2. 「相続放棄」
  3. 「限定承認」

それぞれ詳しく説明していきましょう。

1.単純承認

相続をするかと問われて、相続すると決めたときは、「単純承認」とされます。
「単純承認」は相続人が住んでいる住所を管轄している裁判所に、相続発生後3カ月のときに何も届出をしなければ、「単純承認」したとみなされます。

注意しなければならないのは、葬儀費用などで被相続人の預金口座からお金を小額でも引き落とした場合、単純承認をしたとみなされるので、相続しないと決めている人は注意が必要になります。
たとえば、葬儀費用の名目で被相続人の預金口座からお金を引き落とした後、遺産を超える大きな借金があることが後で発覚したとしましょう。
この場合でも単純承認したとみなされて、後から相続放棄をしようとしても認められません。
単純承認をするには、被相続人の財産をきちんと把握することが大切なのです。

2.相続放棄」

相続放棄を選ぶと、相続人は最初から相続人でなかったということになります。
つまり、遺産を引き継ぐ権利そのものを失うということです。
ただし、仏壇やお墓などの祭祀財産は除きます。

手続きは非常に簡単です。まず管轄の家庭裁判所に相続放棄申述書を提出します。
1週間ほどで「相続放棄の申述についての照会書」が郵送されてきます。

書類には相続放棄の説明や書き方などいくつかの質問事項が書いてあるので、これに答えて返送します。
問題がなければ、「相続放棄申述受理証明書」が郵送されます。
この証書で相続放棄が認められたとこになります。

3.限定承認

限定承認とは、プラスの財産を限度に相続をする方法です。
これは、被相続人の財産の内容がプラスの財産かマイナスの財産かわからないという場合に有効な方法です。
この場合の手続きも簡単で管轄の家庭裁判所に「限定承認申述書」を提出すれば、限定承認を選択することが出来ます。

まずは3つの財産を調べよう

相続発生後、3カ月で〆切が訪れるとはいえ、何から手をつけていいか、わからないという人は、次に挙げる「3つの財産」をすべてリストアップして、借金はどのくらいあるのか、相続税がどのくらいかかるのかを調べることが大切です。

  1. 「相続財産」
  2. 「みなし相続財産」
  3. 「贈与財産」

1.「相続財産」とは

亡くなった人の財産のことをいいます。
相続財産には金銭に換金できるものすべてとありますが、一般的には不動産(自宅)と預貯金などの金融資産です。
不動産については、路線価にて概算がわかります。
自宅の建物は毎年送付される固定資産税評価額を参考にします。
預貯金、株式、債権などは時価が基準になります。
これらプラスの財産と借金などのマイナスの財産を相殺すれば、遺産がプラスなのかマイナスなのかがわかります。

2.「みなし相続財産」とは

主に生命保険金や死亡退職金のことになります。
なお、生命保険金は相続人固有の財産といわれており、受取人に指定された人が受け取る財産とされているため、相続財産にならないと勘違いしている人も多いのですが、相続財産として課税の対象になります。
死亡退職金があるかどうか、その金額をきちんと調べておくことが大切です。

3.「贈与財産」とは

被相続人から、相続人へ生前に贈与された財産となります。
たとえば、住宅の新築の際に贈与された資金や孫の教育資金などです。
贈与された財産が非課税の範囲内であれば、相続税はかかりません。
しかし、贈与された財産が非課税の範囲を超えているケースは超えた分だけ相続財産としてみなされて相続税がかかります。
また、相続がスタートする3年前に贈与された財産の場合は、すべて相続財産としてみなされ、相続税が課税されることになるので注意が必要です。

これら3つの相続財産が、5,000万円+1,000万円×法定相続人の数以下であれば、相続税は課税されません(平成26年12月31日まで)。

なお、平成27年1月1日からは、基礎控除額が3,000万円+600万円×法定相続人の数に変更されるので、こちらの金額でも計算しておくことが大切です。