家財道具やゴルフ会員権などの評価方法は?

家財道具やゴルフ会員権などの評価方法は?

相続の事前準備の2つ目のポイントである「財産がどれだけあるのか把握する」ことをさらに詳しく見ていくことにしましょう。
前回は金融資産の評価方法を紹介致しました。
今回は、自動車や家財道具などの一般動産やなかなか値段がつけづらい資産の評価方法について見ていきたいと思います。

評価しづらい資産として挙げられるのは、ゴルフ会員権や書画、骨董品などです。
まずは「ゴルフ会員権」の評価法から見ていきましょう。

ゴルフ会員権は取引相場があるかないかで評価が変わる

ゴルフ会員権とは、言うまでもありませんが特定のゴルフ場でプレーできる権利として販売されているものです。
取引相場がある会員権と取引相場がない会員権では評価の方法が異なるので注意が必要です。

取引相場がある会員権は次のように計算します。

課税時期の取引価格×70%+預託金

相続税の課税時期から一定の期間を経過した後に返還を受けられる預託金等については、ゴルフクラブの規約などに基づいて計算をします。

具体的には相続税の課税時期から、返還を受けることができる日までの期間(1年未満の場合は1年、1年未満の端数は、1年に切り上げて計算)に応じて、年3%の複利がかかるので、これを合わせた金額で評価をします。

取引相場がない会員権は、

  1. 預託金等を預託しなければ会員になれない会員権
  2. 株主でなければゴルフクラブの会員となれない会員権

で、評価が異なります。

1.は前期の預託金等を評価した方法で評価します。
2.につては「取引相場のない株式」の評価方法で評価します。
3.株主であり、かつ、預託金等を預託しなければ会員となれない会員権については、株主の価額と預託金等の合計額が評価額になります。
株式の価額は、前期の「取引相場のない株式」、預託金等の額は、前期の預託金等を評価した方法でそれぞれ評価します。

なお、ゴルフ会員権の売却益は譲渡所得になり、相続人の総所得に算入して、総合課税されます。
ただし、相続税の申告期限から3年以内の売却に関しては税金が安くなる特例があるので、利用しましょう。

書画や骨董品の評価は専門家に依頼する

自動車、機械装置、家財道具などの「一般動産」は、再調達価格で評価をします。
再調達価格とは、その製品を現在、調達する際の価格のことをいいます。

しかしながら、再調達価格を厳密に調べることが難しいので、一般的には中古品の価格になります。
中古品の価格をインターネットなどで調べて評価する方法もひとつの方法でしょう。
たとえば、中古市場が発達している自動車などについては、下取り業者による査定金額で評価するのも、もちろんOKです。

再調達価格が不明なときは、新品の価格から減価償却分を差し引いた金額で評価するのが原則です。
しかしながら、一般動産を1つひとつ評価するのは大変なので「家財一式100万円」というように財産目録に掲載するのが一般的な方法です。

被相続人のなかには趣味で書画や骨董品などを収集している方がいらっしゃるかもしれません。
しかし、書画や骨董品は再調達価格で評価はできません。

では、どのように評価をすればよいのでしょうか?
これについては、骨董品店などの専門家に依頼するケースが一般的です。
専門家に依頼して、書画や骨董品などの売買実例価額を参考に評価します。
専門家に評価を依頼するためには、時間かかるケースも多いので早めに準備しておくことが重要になってきます。

財産目録をつくりながら評価する

被相続人の財産の評価は、財産目録をつくりながら評価すると後々、便利です。
プラスの財産、マイナスの財産すべてが記載された相続財産目録があれば、遺言を作成するときに誰にどれだけ、財産を配分するかということも簡単に決めることができます。
また、財産目録があれば、相続税を払う必要があるのか事前に把握することができるので、税金を払わなければいけないときには納税資金を用意するための対策を練ることができます。
もちろん、相続税の申告時には、相続財産目録を添付しなければなりません。

また、財産目録があれば相続が発生したときに相続人がスムーズに遺産分割協議を行うことができます。
相続が発生すれば、被相続人のすべての財産を調べる必要がありますし、手間もかかります。
さらに、遺産分割協議後に見落としの財産があった場合には、再度、相続人同士で協議をしなければいけないので、非常に面倒な問題が生じます。

問題は財産目録の作成の呼びかけが「親の財産を狙っている」と勘違いしてしまうことです。
子どもに兄弟姉妹がいる場合は特にですが、子どもからは財産目録を作って欲しいとはなかなか言いにくいものです。
しかしながら、相続のことを考えれば、財産目録の作成は必須です。
親として子どもたちに迷惑をかけないためにも、ぜひ財産目録の作成をしてみてください。

財産の調査と相続財産目録の作成は、できるだけ早く行いましょう。
ただし、財産の変動がないか1年ごとなど、定期的に財産目録を更新して、常に細心の者を用意しておくとよいでしょう。