相続トラブルは遺産額5,000万円以下が約8割! 遺産争いを防止する3つの対策とは?

裁判所が発表した『司法統計年報(平成27年版)』によると、
遺産相続トラブルは年々増加しています。

また、同資料の『遺産総額別遺産分割事件の内、容認・調停が成立した件数』を見ると、
遺産分割事件の76%が遺産額5,000万円以下だということが分かりました。

今回は、相続争いを防止する3つの基本的な対策を見ていきましょう。

≪事例≫

Aさんには3人の子どもがいます。
長女と次女は結婚し、都内のマンションで暮らしていますが、三女とは同居中です。
なお、Aさんの配偶者(ご主人)はすでに他界しています。

自宅や預貯金などを巡って相続争いが起こらないために、
Aさんは生前に何をしておくべきなのでしょうか?
 

まずは、自分の資産について“何がどれくらいあるか”を調べましょう。
相続財産に含まれる資産は以下の通りです。

1. 相続財産を調査する

まずは、自分の資産について“何がどれくらいあるか”を調べましょう。

相続財産に含まれる資産は以下の通りです。

【プラスの財産】
●土地や建物などの不動産や
貸付金などの債権
●現金や預貯金、小切手などの
有価証券
●自動車や貴金属などの動産 など

【マイナスの財産】
●借金や住宅ローン、未払いの税金など

なお相続では、
一般的に土地の評価は『路線価』、建物の評価は『固定資産税評価額』を用いて算出します。

相続財産に不動産が含まれる場合は、
相続トラブルが発生する確率が非常に高いので、必ず次項以降の対策を講じるようにしましょう。

2. 遺言書を作成しよう

遺産相続トラブルを防止する対策としては、
“誰が何をどれだけ受け取るか”を明記できる遺言書の作成が有効です。

なお、遺言書には以下の3種類があります(船舶事故など、特別方式の遺言書は除く)。

(1)自筆証書遺言:財産所有者自ら作成する遺言書
(2)公正証書遺言:公証役場の人と共同で作成する遺言書
(3)秘密証書遺言:遺言内容は秘密にしつつ、公証人と証人2人以上に遺言書の存在を証明してもらう遺言書

(1)と(3)は“自書、押印されていない”など、形式に不備があると無効になってしまいます。
そのため、効力の確実性に優れた『公正証書遺言』で作成するとよいでしょう。

遺言内容を実行する“遺言執行者”を選任しておくと、
不動産の相続登記や預貯金の払い戻しなどの遺産相続手続きをしてくれます。

なお、遺言執行者は弁護士などの公正な第三者を指定するとなお良いでしょう。

また、遺言書の内容によってはトラブルの原因となる可能性もあります。
“相続トラブルの防止策”としての役割を果たすためには、“遺留分(※1)”を考慮した上で、資産が相続人全員に配慮する必要があります。

仮に、この遺留分を侵害(※2)する内容を記していた場合、相続トラブルに発展し、遺留分減殺請求(※3)に発展する可能性もあるので注意が必要です。相続人同士のトラブルを避けたいのであれば、必ず遺留分を考慮した上で遺言書を作成するようにしましょう。

3. 生命保険への加入も有効

今回のケースのように相続人が複数人いて、なおかつ“主な財産が不動産だけ”という場合は、
遺留分に相当するほかの遺産や現金を残さなくてはなりません。

そこで、相続分割の不平等を解消するために、生命保険金を活用することも一つの方法です。

なお、生命保険金は民法上、受取人固有の財産とされています。
そのため、原則として遺産分割の対象にはなりません。さらに『500万円×法定相続人の数』までは相続税が非課税となります。

今回は、相続対策の基 本的な概要をご紹介しました。ご紹介した内容以外にも、さまざまな相続トラブル防止策や細かな注意点があります。
相続についてご心配なことがありましたら、お気軽にご 相談ください。

気になることや悩んでいることがございましたら、お気軽にご相談くださいませ

▽ お問い合わせはこちらからお願いいたします ▽

相続や事業承継に関する情報をメールマガジンにて配信しております

新聞や雑誌に載らない、現場で起こった事例など、相続対策の豊富な経験や、知っておくと安心できる情報を多数ご紹介しております。
登録料・月額費用は無料です。
購読ご希望の方は  まで、お名前とメールアドレスを送ってください。

メールマガジン例

※1 本来、被相続人の財産は、被相続人の意思に基づき遺言や贈与によって財産を自由に処分できるとされています。ただし、完全に自由な処分を認めてしまうと、全く相続できない相続人がでてきてしまう恐れがあるため、被相続人の兄弟姉妹以外の法定相続人には、財産のうち、ある一定割合を相続できる権利が与えられています。
※2 遺留分(相続財産のうち、決められた一定の割合を相続する権利)を侵害されること。つまり、相続額が遺留分の金額に満たないこと。
※3 遺留分を侵害している相続人に、遺留分の額をもらえるよう請求すること。なお、遺留分権利者が相続の開始および遺留分を侵害されていることが分かった日から1年以内または、相続が開始されてから10年以内に行う必要があります。