原則として、遺言書に書かれた内容は、
被相続人が亡くなったときに効力が発生します。
しかし、相続人の全員が遺言書の内容を把握した上で、
遺言書とは異なる内容の遺産分割を行うことに合意している場合には、
遺言書の内容と異なる内容で遺産分割協議をすることができます。
この点において国税庁は、
『受遺者が事実上放棄をし、共同相続人間で遺産分割が行われたものとみる』としています。
●異なる遺産分割協議ができない場合とは?
ただ、以下の場合には遺言書と異なる遺産分割協議はできません。
(1)相続人全員の同意が得られていない場合
(2)相続人以外の受遺者がいて、その受遺者の同意を得られていない場合
(3)被相続人が遺言書の内容と異なる遺産分割協議を遺言書で明確に禁止している場合
(4)遺言執行者が設定されており、遺言執行者が遺言と異なる遺産分割協議に同意しない場合
(4)の場合には、
一旦遺言書どおりの相続を行った上で、新たな契約として財産の移転を行う必要があります。
●遺言書と異なる人物に不動産を相続させたい場合は?
『Aに不動産を相続させる』と遺言書に明確に相続人が指定されており、遺産分割協議でBに不動産を相続させたい場合は、まずAに相続を原因とした所有権移転登記を行った上で、Bが贈与、または交換を原因とした所有権移転登記を行う必要があります。
ただし、A、Bが法定相続人で、特定受遺者でなければ、これにより新たに贈与税等が課税されることはありません。
遺言書と異なる内容の遺産分割を行う際は、
ケースによって異なるため、事前に専門家に相談してから対処しましょう。
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