毎年暦年贈与で相続税対策をしていたのに、
税務署から名義預金とみなされて相続財産に加えられてしまうといったケースがあります。
そうなると延滞税や加算税がかかることも……。
では、現金や預金が名義預金とみなされるのはどういったケースなのでしょうか?
形式的には相続人が預金口座の名義人であっても、
実質的には被相続人が管理や運用を行っている預金を一般的に『名義預金』と言います。
名義預金と認定されてしまうと、
たとえ相続人に贈与していても、被相続人の相続財産に加算されてしまいます。
預貯金等の帰属に係る判決(平成21年4月16日東京高裁)によると、
名義預金について、以下の基準を総合考慮して判断するのが相当であるとしました。
●当該財産またはその購入原資の出捐者
●当該財産の管理及び運用の状況
●当該財産から生じる利益の帰属者
●被相続人と当該財産の名義人ならびに当該財産の管理及び運用をする者との関係
●当該財産の名義人がその名義を有することになった経緯
●贈与の事実の有無
名義預金に関して特に重要なのが“預金を管理しているのは誰か”ということです。
預金管理者によってどう判断が変わるのか、事例を元にご説明します。
(1)財産をもらう人(相続人)が口座を管理している。
贈与であることを相続人も認識しており、財産の管理運用も本人が行っている場合では、名義預金ではなく相続人への贈与と判断される可能性が高くなります。
(2)口座を作成後、途中で相続人が通帳を渡された。
この場合も贈与となる可能性の高いケースです。
実際にあった事例では、途中から相続人が預金を管理していたことや被相続人が出捐者だと特定できなかったことから、裁判所は相続財産とはいえないと判断したことがあります。
(3)被相続人が口座を管理している。
相続人が口座の存在自体を知らず贈与である証拠もないような場合には、贈与ではなく名義預金とみなされます。
さらにこのような状況で被相続人が亡くなった場合も同様に名義預金となり、被相続人の財産となります。
名義預金は「知らなかった」では済まされません。
さらに意図的に名義預金を作っていた場合には、
故意に事実を仮装・隠ぺいしたと判断される可能性もあります。
税務署に指摘されて大ごとになる前に、必ず専門家に相談しましょう。
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