自分の家を購入する費用や自分の子供の教育費用など、
さまざまな事情から、両親に借金をすることがあります。
この借金が贈与とみなされれば、贈与税が課税されてしまいます。
仮に子や孫への贈与の場合2,000万円の贈与だとみなされると、
600万円近くの贈与税がかかることもございます。
そこで、借金による財産移転が贈与だとみなされないためのポイントなどを解説します。
ローンを組む場合、
金融機関で組むと返済期間や金利面での融通がききにくいことから、
「子供に金融機関から借金をさせるくらいなら自分が貸す」と考える親御さんも少なくありません。
しかし、親子間の借金は融通がききやすい反面、
返済が滞ったり、お金がある時だけ返済したりということになりやすいものです。
客観的に返済の事実が見えないと、
借金ではなく贈与と判断されてしまう可能性があります。
思わぬところで贈与税を課税されることのないよう、
親子間の貸借関係は客観的にわかるようにしておかなければなりません。
そのポイントは大きく4つです。
(1)第三者との間で金銭消費貸借契約を結ぶときと同じレベルの借用書を作成する
(2)返済は現金の受け渡しではなく銀行振込にする
(3)無金利にすると金利分が贈与とみなされる可能性があるため、金利を設定する
(4)現実的に返済可能な額と期間を設定する
もし、債権者である親が死亡した場合、
その貸付債権は相続財産に含まれることになります。
債権者と債務者が同一となった場合、民法上は債権債務が消滅します。
これを『混同』といいます。
相続税法上は、債権が相続財産となりますが、相続税が発生したとしても相続人は1人なので、問題になることは少ないでしょう。
問題が起こり得るのは、相続人が他にもいる場合です。
債権が他の相続人に相続されることによって他の相続人に対して返済義務が生じるだけでなく、他の相続人は債権が課税されている分、相続税を余計に払わなければならなくなる可能性も出てきます。
そのような相続時のトラブルを避けるために、
債権者(親)は遺言書を作成しておきましょう。
作成時は下記のようなことを考慮するべきです。
(1)債務免除を記載し、債権を消滅させておく(債務免除されても相続税がなくなるわけではありません)
(2)借金していた子供が債権を相続するような形で遺産を分割する親子間の財産移転が贈与か相続かによって、予想される展開は異なります。
思わぬ税金を課されないよう注意しましょう。
▽ 遺言書に関しての記事は、下記もご覧くださいませ ▽
遺言がある場合の相続手続きは?
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