贈与税の非課税額は年間110万円以内と定められていますが、条件によって最大2,500万円までを非課税で贈与することができる、『相続時精算課税制度』という制度があり、年間約5万人が利用しています。今回はこの『相続時精算課税制度』の特徴や注意点について詳しくご説明します。
相続時精算課税制度を利用するための条件は、『贈与する人が、贈与した年の1月1日時点で60歳以上の祖父母もしくは父母であること』、そして『贈与される人が、贈与された年の1月1日時点で20歳以上の子どもまたは孫』です。
手続きは、相続時精算課税制度届出書を贈与された『次の年の2月1日から3月15日まで』に所轄の税務署に提出することから始まります。戸籍謄本など贈与される相手との関係が証明できる書類などを添えて提出します。
相続時精算課税制度を選択した場合、暦年課税への変更ができなくなるのでご注意ください。
相続が発生した際には、贈与された金額分(贈与時の時価)が相続財産に含まれることになります。贈与される財産の種類や金額、贈与される回数の制限はありません。トータルで最大2,500万円までが特別控除額として計上されます。
そのため、2,500万円以内であれば、非課税で贈与することができます。2,500万円を超えた贈与に関しては、20%の贈与税率が適用されます。
たとえば贈与された財産が5,000万円だった場合、通常は(5,000万円-基礎控除110万円)×55%-控除額400万円=『2289.5万円』の贈与税が課せられます。相続時精算課税制度の適用後は、(5,000万円-特別控除額2,500万円)×20%=『500万円』が贈与税額となります。両方を比較した場合、『1789.5万円』の節税効果を見込むことができます。
相続時精算課税制度では、『贈与した時点の評価額』にて、相続時に計算されます。そのため、たとえば開発予定の土地や、値上がりの可能性を持つ株式、年代ものの貴金属品や骨董品など、将来的に価格の高騰が期待できる財産を贈与すると、より効果的といえます。
大切な家族には、少しでも多くの財産を残したいものです。相続・贈与について気になることがありましたら、税理士などの専門家に一度ご相談ください。