相続財産に国債があるとき どのように取り扱えばよい?

相続財産に国債があるとき どのように取り扱えばよい?

相続財産に現預金以外の財産が含まれている場合、遺産分割協議や相続税の計算をするにあたって、

金額に換算する必要があります。

では、相続財産に『国債』が含まれていたときには、その取り扱いや評価方法はどのようになるのでしょうか。

 

国債は、遺産分割や相続税課税の対象となる

 

国債は、国が発行する債券です。国債には『償還期限』と『利率』が設定されており、

利子の支払いと償還(元本の支払い)を国が行います。

株式などとは異なり、償還期限まで保有すれば原則として元本が保証されるのが大きな特徴ですが、

償還期限を待たずに中途換金すると元本割れするリスクがあります。

国債には、主に以下の種類があります。

 

●利付国債
半年ごとに利子を受け取ることができ、償還時に元本が全額戻ってくる国債。

●割引国債
あらかじめ利子相当分を額面金額から差し引いた価格で発行され、償還時に額面金額を受け取ることができる国債。償還までの間に利子を受け取ることはありません。

●個人向け国債
利付国債のうち、個人だけが購入できる国債。発行後1年が経過すると途中解約ができ、また、名義人が亡くなり相続が発生した場合は、発行後1年を経過していなくても中途換金ができます。

 

国債は、遺産分割および相続税課税の対象となる財産です。

遺言書があればそれに従い、遺言書がない場合は、相続人が遺産分割協議をして、

誰が国債を相続するかを決めていきます。

その際、1国債の名義人を被相続人から相続人に変更して引き継ぐ方法、

2国債を中途換金してから相続する方法のいずれかをとることになります。

 

金銭で評価する方法は国債の種類で異なる

 

国債を金銭で評価する方法は、以下のように国債の種類によって異なります。

●利付国債の相続税評価額
相続発生日の最終価格+既経過利息の額
※既経過利息とは、前回の利払い日から相続発生日までの利息(源泉所得税相当額を引いた金額)のこと。

●割引国債の相続税評価額
取引所が公表する相続発生日の最終価格

●個人向け国債の相続税評価額
額面金額+経過利子相当額-中途換金調整額
※経過利子相当額とは、前回の利払い日から相続発生日までの間に発生した利子相当額(税引き前の金額)のこと。中途換金調整額とは、個人向け国債を満期前に解約する場合に発生する調整額のこと。

 

なお、国債は法律によって購入単位が決められており、購入単位未満の価額で分割することはできません。

単位ごとに相続人に分割されることになります。

国債を保有している場合は、後々のために国債の相続手続きや評価方法について理解しておきましょう。

 

 

相続税対策に使われる『養子縁組』 その基礎知識と活用方法について

養子縁組制度を利用して“子ども”の数を増やすと、

法定相続人が増えることで相続税の基礎控除額が拡大されます。

そのため、養子縁組は相続税対策として用いられることがあります。

今回は、養子縁組の基本的な知識や、注意すべきポイントなどをまとめました。

 

なにが違うの?特別養子縁組と普通養子縁組

 

養子縁組とは法律上の親子関係を成立させるための制度です。

これには『特別養子縁組』と『普通養子縁組』の2種類があります。

それぞれについて確認しましょう。

●特別養子縁組

保護者がいない子ども、

虐待などによって実親のもとで育つことが難しい子どもを保護するために設けられた養子縁組制度です。

普通養子縁組よりも成立要件が厳しく、

原則として養親は25歳以上で配偶者がいること、養子は15歳未満であることが要件です。

家庭裁判所の決定によって養子縁組が成立し、その場合は実の父母と養子との親族関係は終了します。

 

●普通養子縁組

一般的に、相続対策で用いられる養子縁組制度です。

養子が未成年であれば、自己または配偶者の直系卑属でない限り家庭裁判所の許可が必要ですが、

養子が成年ならば戸籍法に定める届出によって成立します。

普通養子縁組が成立しても、実の父母と養子との間には親族関係が残ります。

つまり、養親のほかに、実親の財産も相続できることになります。

 

よくあるケースとしては、実子がいない人が自分の甥や姪を養子にしたり、

実子のほかに孫を養子にしたりすることがあります。

親族関係で養子縁組をする場合は、自分より前の世代(尊属)を養子にすることはできず、

後の世代(卑属)のみ、養子にできます。また、年長者を養子とすることもできません。

 

養子縁組は相続税対策になる?実際に活用した場合について

 

養子縁組をすると法定相続人の数が増えることになります。

相続税には【3,000万円+600万円×法定相続人の数】という基礎控除額が設定されているため、

養子縁組制度を利用すれば、控除枠が広がり、節税することができます。

ただし、相続税の計算上は、無制限に養子を法定相続人にできるわけではありません。

被相続人に実子がいる場合には、養子の数は1名まで、実子がいない場合には2名までと制限されています。

また、代襲相続人でない孫を養子にすると相続税が20%加算されるので、

節税対策としてはメリットばかりではありません。

孫に財産を渡すなら、教育資金の一括贈与などの非課税措置を利用するという方法もあります。

 

※暦年贈与の贈与税が無くなる可能性があるため節税効果を期待できる養子縁組ですが、

ほかに相続人がいる場合は、その人の相続分が減ってしまうことにも注意しましょう。

相続分が減った人から不満が出やすく、争いに発展してしまうケースも多々あるからです。

ほかの相続人に向けた説明を欠かさず、事前に了解を得ておくことも大切です。

 

 

年金の加入者が亡くなった場合 その年金は遺族が受け取れる?

老後の生活費に充てるために、働けるうちに積み立てる年金。

年金には、国民年金や厚生年金などの公的年金と、企業型DCなどの私的年金があります。

では、仮に年金の加入者が亡くなったときには、相続人はその年金を受け継ぐことができるのでしょうか?

 

公的年金は遺族年金として、私的年金は一時金として受け取る

 

公的年金には、20歳以上の人が加入する国民年金と、会社員や公務員が加入する厚生年金があります。

さらに近年では、企業型DC(企業型確定拠出年金)や

iDeCo(個人型確定拠出年金)などの私的年金への加入者も増えました。

では、万が一加入者が亡くなったときには、

加入者の配偶者や家族がこれらの年金を受けとることはできるのでしょうか。

公的年金の被保険者が亡くなったときは、

一定の条件を満たす遺族に対して遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)が支給されます。

私的年金の場合、遺族は一時金を受け取ることができますが、

年金という形では受け取ることができません。

 

年金ごとに支給要件は違う!それぞれの概要と手続き方法

 

遺族基礎年金は、加入者によって生計を維持されていた

『子のいる配偶者』など一定の条件を満たす場合に受給でき、

例として妻と子どもであれば年額78万900円の支給額に、子どもの人数によって金額が加算されます。

遺族厚生年金は子どものいない遺族も受給でき、

亡くなった人の老齢厚生年金受給額の約4分の3が支給されます。

どちらも年金手帳や加入者の戸籍謄本などの必要書類を年金事務所に提出します。

企業型DC(企業型確定拠出年金)やiDeCo(個人型確定拠出年金)など私的年金の場合は、

運営管理機関に対して手続きを行います。

企業型DCの場合は、事業主に手続きについて確認しましょう。