いつどんな税金が課税される? 不動産に関わる税金の基本

いつどんな税金が課税される?不動産に関わる税金の基本

相続税対策として不動産を所有したり、不動産投資を行う人も増えてきました。

そこで注意したいのが、不動産を売買したり所有したりすることによって発生する税金です。

今回は、不動産に関わる税金にはどんなものがあるのか解説しましょう。

 

不動産購入や贈与など不動産取得により課税される税金

 

私たちが不動産と関わる場面はさまざまです。

たとえば、不動産を買うこともあれば売ることもありますし、借りることや貸すこともあるでしょう。

不動産を取得したときには、不動産取得税が課税されます。

 

この税は、自治体ごとに異なりますが、

一般的に不動産を取得し60日~半年を目安に申告しなければいけません。

ただし、相続で不動産を取得した場合には、不動産取得税は課税されません。

一方で、贈与によって不動産を取得した場合には課税されますので、注意が必要です。

 

整理すると、贈与によって不動産を取得した場合には不動産取得税と贈与税が課税され、

相続によって取得した場合には相続税が課税されるということになります

(登録免許税はどちらにも課税されます)。

ちなみに、課税標準額が10万円未満の土地など、

一定額未満の不動産については免税点として不動産取得税が課税されないこととされています。

 

毎年課税される税金や不動産投資で課税される税金も

 

不動産を所有している間は、毎年、固定資産税が課税されます。

これはランニングコストとして把握しておきましょう。

固定資産税は、固定資産税評価額をベースに納付額が算出されます。

また、自宅としてではなく賃貸物件として不動産を貸し出した場合には、

固定資産税のほかにもさまざまな税金が課税されます。

たとえば不動産投資を行っている場合、家賃収入から必要経費を差し引いて得られる収益に対して、

所得税や住民税などの税金が課税されます。

また、会社員などで年末調整をしている人が不動産投資によって収益を得ている場合は、

年末調整のほかに確定申告が必要です。

 

ちなみに、ほかの収入があっても、不動産所得が赤字である場合は、

損益通算されて所得税・住民税が下がります。

また、不動産所得が290万超かつ規模が一定以上の場合、不動産賃貸が事業税の課税対象になるため、

申告漏れなどになってしまわないよう注意が必要です。

不動産所得について申告漏れがあった場合、

延滞税や、悪質であると判断される場合には重加算税などが課されます。

 

不動産投資は相続税対策にもなり、家賃収入も得られるため、資産運用にも有益といえます。

しかしその反面、税金や修繕費、ローンの返済などのランニングコストがかかります。

さまざまな角度から考えて慎重に検討しましょう。

 

 

よく聞く『賃貸併用住宅』って? 建てる前に知っておきたいこと

自宅の一部を賃貸として人に貸すという形態は、古くから行われてきました。

いわゆる『賃貸併用住宅』については、一般的な不動産の賃貸とは違うメリットやデメリットが発生します。

今回は、わかりやすいメリットとデメリットを紹介します。

 

住宅ローンが使えるなどさまざまなメリットがある

 

「広めの一軒家を建てたけれど、子どもが全員巣立ったので、2階部分を人に貸して家賃収入を得たい」

「一時的に使わない部屋を貸し出したい」などといったニーズから、

建て直しやリフォームをして自宅の一部を人に貸すことがあります。

このように貸主の自宅と賃貸部分が共存している建物のことを、賃貸併用住宅と呼びます。

 

賃貸併用住宅のメリットとして大きいのは、住宅ローンが使えることです。

一般的に、マンションやアパートなど人に貸すことを主な目的として建てられる建物については、

住宅ローンを利用することができません。

そのため、ローンを組む際には事業用のアパートローンなどを利用することになります。

しかし、これらのローンは住宅ローンに比べると金利が高く、また返済期間も短いというデメリットがあります。

 

一方、賃貸併用住宅であれば、自宅と併用であるため住宅ローンを使うことができます。

住宅ローンを利用すれば、住宅ローン控除を受けることも可能です。

ただ、それには条件があり、延べ床面積の半分以上が自宅であることが必要です。

金融機関によってはそのほかにも条件を設定しているところがあるため、

ローンを選ぶ際には比較検討が欠かせません。

 

また、賃貸併用住宅は、通常の賃貸物件と同様に賃料収入を得ることができるため、

賃料収入で住宅ローンの返済をまかなうことができるのも魅力といえます。

 

入居者と距離が近すぎるのが賃貸併用住宅のデメリット

 

一般的な賃貸物件に比べると金銭的なメリットが高い賃貸併用住宅ですが、やはりデメリットもあります。

その一つが、自宅である建物を他人と共有する状態になるため、

借りている人との距離が近くなってしまうことでしょう。

オーナーが同じ建物に住んでいるという理由で入居者からさまざまなクレームが直接寄せられたり、

トラブルに巻き込まれたりしてしまう可能性もあります。

また、建て方や構造によっては、お互いの生活音が気になることも考えられます。

 

また、せっかく賃貸部分を設けても、

入居者がいなければ賃料収入を得られずローンの返済も困難になってしまいます。

長期的に入居者ニーズがある立地かどうか、建てる前に調査をする必要があります。

 

賃貸併用住宅は、自宅でもない・アパートでもないという特殊な物件になるため、

売却がしにくいという点も懸念すべき要素といえます。

賃貸併用住宅を建てる際は、メリット・デメリットをよく理解したうえで検討していくことが大切です。

 

 

相続税が一定額まで非課税になる配偶者の税額軽減制度

配偶者が他界すると、残された人はあらゆる面で不安を感じることでしょう。

被相続人が生前、収入の柱を担っていた場合、配偶者の生活面に影響を与えることが想定されます。

そのようなときに支えとなるのが、相続税の配偶者税額軽減制度です。

今回は、その概要と利用方法を説明します。

 

相続時に使える配偶者税額軽減制度とは

 

相続税の配偶者税額軽減制度とは、

被相続人(故人)の配偶者が遺産分割や遺贈によって実際に得た財産(債務を引いた金額)につき、

下記の金額のどちらか多い金額までは配偶者の相続税は非課税となる制度です。

❶ 1億6,000万円
❷ 配偶者の法定相続分相当額

❶❷のうち金額の高い方を上限として、相続税は非課税となります。

たとえば、配偶者の法定相続割合が1/2で、3億円の財産を相続する場合、

1億5,000万円となるため、上記❷ではなく、❶の1億6,000万円まで相続税が非課税となります。

仮に4億円の財産のうち1/2の2億円を配偶者が相続する場合、❷の2億円まで相続税が非課税となります。

ただし、相続税の申告期限までに分割が決まっていない財産には適用できませんが、

申告期限後にも配偶者の税額軽減が受けられるように申請や更正の制度が整備されています。

 

相続税の配偶者税額軽減制度を利用するためには?

 

相続税の配偶者税額軽減制度を利用するには税額軽減の明細を記載した相続税の申告書に、

戸籍謄本、遺言書の写し、遺産分割協議書の写しなど、

配偶者が取得した財産が分かる書類を添えて、税務署に提出する必要があります。

 

遺産分割協議書の写しには、

相続人全員の印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)も添付する必要があります。

相続税申告期限までに遺産分割が決定しておらず、

法定相続割合等で申告書を提出した後に配偶者の税額軽減を受ける場合、

相続税申告後に遺産分割を行い分割が成立した日の翌日から

4か月以内に更正の請求手続きが必要となります。

こちらは原則として申告期限後3年以内となります。

 

上記のように申告期限内に遺産分割がまとまらない場合であっても、

適用が受けられる手続き等があります。配偶者の税額軽減の適用を考えるときは、

専門家に相談してみることもおすすめします。