二次相続で起こりやすい 相続トラブルを回避するには?

二次相続で起こりやすい相続トラブルを回避するには?

一般に、親の財産を相続する機会は2回あります。先に開始するものを一次相続、

その後に開始するものは二次相続と呼びますが、

一次相続と二次相続とでは状況が異なることが多いといわれます。

今回は、二次相続で起こりやすいトラブルについて解説します。

 

誰がどのように相続するか?二次相続で揉める原因とは

 

子どもにとって両親の一方が亡くなった際に発生する相続を一次相続といいます。

そしてもう一方の親が亡くなった際の相続を二次相続といいます。

一次相続よりも二次相続は揉めやすいといわれているため、事前にできる限りの準備をしておきたいものです。

 

相続財産の内容や配分については、

やがて被相続人となる両親が生前に話し合って決めるケースが多いと思われます。

一次相続であれば、片方の親が、亡くなった配偶者の意向をほかの相続人に伝えることができます。

また、子どもからすれば『親の財産は親が管理する』という認識の人が多く、

相続の手続きを配偶者が先導できる傾向にあります。

 

ところが二次相続の場合、両親がおらず、子どもだけで相続を進めることになるので、

相続財産をどのように分配するか、誰が中心となって決めていくのかが曖昧になりがちで、

意見がまとまりづらいこともあります。

また、二次相続では一次相続後に再婚でもしない限り配偶者控除が使えないため、

一次相続よりも相続税の負担が大きくなる可能性が高くなります。

 

配偶者控除とは、課税対象となる財産の額が1億6,000万円まで、

もしくは配偶者の法定相続分までの相続財産につき、配偶者に相続税がかからない制度です。

二次相続では子どもが相続人となるため、基本的にこの配偶者控除が使えません。

たとえば、相続財産が不動産のみだった場合は、

相続税を納めるために不動産を売却して納税資金を準備する必要が出てくることもあり、

意見の相違や揉め事に発展しやすいのです。

 

二次相続で子どもが困らないよう両親が生前にできること

 

両親が亡くなっても、兄弟姉妹がいる場合、子ども同士の関係はその後も続きます。

二次相続で兄弟姉妹間にしこりを残さず、円満に話し合いを終えるためには、

両親が元気なうちに、準備をしておいてもらう必要があるでしょう。

以下に具体的な準備の例を2つあげます。

 

【遺言書の作成】

亡くなった人が遺言書を遺していた場合、基本的に遺言書に沿って財産の分配が行われます。

少なくとも、親の意思が明確に示された遺言書があることによって、

トラブルを回避できる可能性が高いといえます。

 

【子どもたちを交えた話し合い】

遺言書があったとしても、子どもがその内容について納得していなければ、

その後も溝ができてしまうでしょう。

相続人どうしの今後の関係性を視野に入れ、相続が開始する前に、子どもたちを交えて話し合いの場を設け、

財産の中身や配分、必要な手続きなど共有しておくとよいでしょう。

 

 

個人型確定拠出年金(iDeCo)の概要とメリットを確認しよう

老後の資金準備のために、個人型確定拠出年金(iDeCo)を検討している人も多いかもしれません。

iDeCoにかかわる制度は、これまで法改正を繰り返してきました。

iDeCoに関する基本的な知識と、どのような時に役立つのか、法改正による変更点などを解説します。

 

公的年金とは別の年金制度 iDeCo の概要

 

国民年金や厚生年金など、私たちは何かしらの公的年金制度に加入しています。

それらとは別に、個人で任意に加入できる年金がiDeCoです。

 

公的年金のうち国民年金は加入期間に応じて受給金額が一律で、

厚生年金は収入と加入期間によって額が決定されます。

一方、iDeCoは自分で掛金を決めることができ、さらに運用も自分で行う点が、公的年金との大きな違いです。

運用成績によっては、掛金よりもはるかに大きな年金を受け取ることが可能です。

 

ただし注意すべき点もあります。運用がうまくいかなければ、

受け取れる金額が減ってしまう運用リスクがあること、

基本的に60歳までは解約できず、長期に渡って資産を現金化できない点があげられます。

 

iDeCo の魅力は高い節税効果 運用益や利息も非課税に

 

一方、iDeCoの大きなメリットは節税効果が高いことです。

まず、掛金が全額所得控除となります。

所得税や住民税などの課税額は、対象年度の課税所得金額によって決まります。

iDeCoに加入し掛金を支払うと、掛金分が所得控除の対象となり、

結果として所得税や住民税も抑えることができます。

 

メリットの2つ目は運用益や利息が非課税になることです。

一般的に、投資益には約20%の課税がありますが、iDeCoには課税されません。

 

さらには、iDeCoで積み立てた資産を受け取る際には、税制優遇措置が用意されています。

iDeCoを一括で受け取るならば退職所得として扱われ『退職所得控除』が受けられます。

年金として継続的に受け取るときには、雑所得として扱われ公的年金控除があります。

ただし、ほかの公的年金や不動産所得等の所得金額と合算されるため、

その年によって納める税額が異なりますので注意が必要です。

 

iDeCoは制度改正を進めており、より活用しやすくなっています。

以前は加入できるのは60歳未満でしたが、2022年5月からは国民年金被保険者であれば、

65歳未満まで加入できるようになりました。

 

また、以前は加入要件を満たす人がほとんどいないとして批判のあった

企業型確定拠出年金加入者も、idecoを利用しやすくなりました。

公的年金のほかにも、将来に向けた備えを必要としている方は、検討してみてもよいでしょう。

 

 

ネット銀行の相続はどうする?家族に口座の存在を伝えておこう

近年、ネット銀行の利用者数が増加しています。

そのなかで、夫婦間でもお互いの資産管理について把握していないケースが増えているようです。

もし、被相続人がネット銀行の口座の詳細を家族に知らせないまま亡くなってしまった場合、

どうすればよいのでしょうか。

 

実は見落とされがち?通帳のないネット銀行口座

 

ネット銀行は便利な反面、口座の存在を家族に知らせていなければ、

遺産相続の際に発見してもらえないこともあり、その場合は大切な財産を家族に残すことが困難になります。

では、もし家族の誰かが亡くなり、「故人がどこかにネット口座をもっているかもしれない」程度の、

あいまいな情報しかない場合はどうすればよいのでしょうか。

 

最初に、取り引きのあったネット銀行を特定する必要があります。

ネット銀行がわかれば、IDやパスワードがなくても、相続に関する手続きを進めることができるからです。

 

有効なのは、故人のメール受信箱を遡って探すことです。

ネット銀行からは、口座開設メールや各種通知など、さまざまなメールが送付されてきます。

これらのメール記録から、ネット銀行を調べることができます。

 

ネット銀行での相続手続きは、必要書類を郵送でやりとりします。

相続税の申告期限(被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10カ月以内)

に間に合うように進める必要があります。

 

ネット銀行での相続手続き 実施の方法を紹介!

 

ネット銀行での相続手続きの例を紹介します。基本的には実店舗のある銀行と同じです。

 

①カスタマーセンターに連絡

カスタマーセンターに電話かメールで連絡します。

故人の名前や生年月日、口座番号等を伝えて取り引きを停止し、

手続きに必要な申請書等の書類を取得します。

 

②確認書類提出

被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、改製原戸籍、除籍謄本や死亡届等、指定の必要書類を提出します。

 

③財産分与に関する書類の提出

遺産分割協議書等の財産を相続するための書類や相続人の戸籍謄本や印鑑証明書等を提出します。

銀行によって必要な書類が異なるため、それぞれに応じて書類を用意します。

 

遺族に手間をかけさせないためには、資産リストや財産目録の作成など、

あらかじめ相続の準備をしておくことが大切です。