⽼後の⽣活について「公的年⾦だけで⽣活できるだろうか」など、漠然とした不安を抱えている⼈も多くいるのではないでしょうか。そこで今回は、⽼齢年⾦の受給者の年⾦額や将来の年⾦⽣活に備え、今からできる対策について紹介します。
⽣命保険⽂化センターが全国の18〜79歳の男⼥約4,900名に対して⾏った『2022(令和4)年度⽣活保障に関する調査』によると、公的年⾦について、「⾃分の⽼後の⽇常⽣活費を公的年⾦でかなりの部分をまかなえると思う」と回答したのは23.2%、「まかなえるとは思わない」との回答は73.9%という結果でした。世代別の⽼後⽣活に対する不安意識の調査では、最も多く「不安感あり」と回答したのは40〜50歳代の男⼥で9割前後に上り、⽬前に迫る⽼後について公的年⾦の少なさが、不安感を強めているといえるでしょう。
⽇本の公的年⾦は20歳以上60歳未満のすべての⼈が加⼊する国⺠年⾦と、会社員や公務員の⼈が加⼊する厚⽣年⾦保険の2階建て構造から成ります。厚⽣労働省が発表した『令和3年度厚⽣年⾦保険・国⺠年⾦事業の概況』によれば、国⺠年⾦受給者の⽼齢年⾦の平均年⾦⽉額は令和3年度末で5万6,479円となっており、厚⽣年⾦保険(第1号)の⽼齢給付の受給者の平均年⾦⽉額は14万5,665円(併給される⽼齢基礎年⾦の額を含む)です。また、平均的な収⼊で40年間就業した場合に受け取り始める年⾦の給付⽔準は、令和5年度で⽉額22万4,482円(夫婦2⼈分の⽼齢基礎年⾦を含む)と⽇本年⾦機構が公表しています。
総務省の令和4年家計調査によると、65歳以上の夫婦のみの無職世帯の⽀出の平均⽉額は26万8,508円、収⼊の平均⽉額は24万6,237円(可処分所得の⽉額平均は21万4,426円)で、家計収⽀は2万2,270円の⾚字となっています。先の調査からも、⼀般的には公的年⾦だけで⽼後の⽣活をまかなうことはむずかしいといえそうです。
⽼後の⾦銭⾯での不安を解消するためには、年⾦をいくら受給できるのか、また⽀出はどれくらいになるのかを⾒通したうえで、将来への備えをすることが必要となります。
年⾦の受給額は加⼊期間などにより⼈によって異なります。年⾦の受給⾒込額を把握するには、毎年誕⽣⽉に送られて来る『ねんきん定期便』に50歳以上の⽅であれば⽼齢年⾦の種類や受給⾒込額が記載されています。あわせて国⺠年⾦保険料の未納がないかも確認しましょう。納期限から2年以内に収めなければ未納となってしまいますが、保険料の免除や納付猶予を受けていた場合は、追納制度を利⽤して過去10年までさかのぼって保険料を納付することができます。
⽀出の⾒込額については、希望する⽼後の⽣活に必要な⾦額を試算してみましょう。そして、⽀出の⾒込額に対して年⾦の受給⾒込額に不⾜が⽣じるようであれば、年⾦以外の収⼊や貯蓄などで補っていくことが必要です。その対策の⼀つとして、年⾦受給年齢になっても、⾃営業などであれば事業を継続し、会社員であれば定年後も働くことにより、収⼊を得ることができます。さらに厚⽣年⾦保険は70歳まで加⼊できます。なお、給与収⼊がある場合でも⽼齢年⾦は受給できますが、厚⽣年⾦保険に加⼊しながら働く場合は給与収⼊額によって⽼齢厚⽣年⾦の⼀部または全部が⽀給停⽌となることに注意が必要です。また、加⼊条件などはありますが、NISAやiDeCo(個⼈型確定拠出年⾦)、保険などを活⽤して資産を増やすことも⼀案です。将来の年⾦受給額と⽀出の⾒通しを⽴てて、今から備えておくことが⼤切です。