2024年12月27日に『令和7年度税制改正大綱』が閣議決定されました。今回の改正では、ニュースでも話題となった『103万円の壁』の引上げなどの内容が盛り込まれています。今回は大綱の内容から一部を抜粋して紹介します。
『令和7年度税制改正大綱』では、ニュースなどでも話題となった103万円の壁の引上げのほか、『事業承継税制の役員就任要件・事業従事要件の緩和』、『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限の延長』、『確定拠出年金制度などの見直し』などがあり、次のような内容となっています。
『物価上昇局面における税負担の調整』
給与所得者の所得税の基礎控除などが見直されることとなりました。基礎控除については、合計所得金額が2,350万円以下である個人の基礎控除額が58万円(現行:48万円)に引き上げられます。給与所得控除についても、最低保障額が65万円(現行:55万円)に引き上げられます。
この2つの引上げにより、いわゆる『103万円の壁』が『123万円の壁』へ拡大されることになりました。なお、この引上げについては、今後も与野党で協議が進められることとなっています。
また、大学生など(その年の12月31日に19歳以上23歳未満の扶養親族)を扶養する世帯の税負担を軽減する「特定扶養控除」については、子の年収要件を現行の「103万円以下」から「150万円以下」に引き上げられることとなりました。
『事業承継税制の要件緩和』
法人版事業承継税制(特例措置)および個人版事業承継税制は、いずれも後継者要件として、自社株式または事業用資産の贈与の日まで3年以上継続して、役員等であることまたは事業等に従事していたことが必要とされていましたが、「贈与の直前において」役員等であることまたは事業等に従事していたことという要件に変更されます。
『結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置の適用期限の延長』
結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税の非課税措置は、父母・祖父母などの直系尊属から18歳以上50歳未満の子や孫などに対して、結婚や子育て費用として贈与された資金について、受贈者1人当たり最大1,000万円(このうち結婚資金は限度額300万円)までが非課税となる制度です。改正前の適用期限が2年延長され、令和9年3月31日までとされました。
『確定拠出年金制度の拠出限度額引上げ』
確定拠出年金法などの改正を前提に、毎月の拠出限度額が引き上げられることになりました。
・企業型確定拠出年金(DC)の拠出限度額
イ 確定給付企業年金制度に加入していない者月額6.2万円(現行:月額5.5万円)
ロ 確定給付企業年金制度の加入者月額6.2万円(現行:月額5.5万円)から確定給
付企業年金ごとの掛金相当額を控除した額・個人型確定拠出年金(iDeCo)の拠出限度額
イ 第一号被保険者月額7.5万円(現行:月額6.8万円)
ロ 企業年金加入者月額6.2万円(現行:月額2.0万円)から確定給付企業年金および企業型確定拠出年金の掛金額を控除した額
ハ 企業年金に未加入の者(第一号被保険者および第三号被保険者を除く)
月額6.2万円(現行:月額2.3万円)・国民年金基金の掛金額
月額7.5万円(現行:月額6.8万円)