唐沢寿明・山口智子夫妻に学ぶ「子供がいない夫婦こそ遺言が重要」

唐沢寿明・山口智子夫妻に学ぶ「子供がいない夫婦こそ遺言が重要」

俳優の唐沢寿明さんが、妻の女優・山口智子さんに宛てて遺言書を作成したことが話題になりました。
「まだ二人とも50歳前後なのに、どうしてそんなに財産を気にするのか?」と思われがちですが、実はこのお二人のように子供がいない夫婦こそ、遺言書が必要なのです。

相続が発生した場合、配偶者はどんな場合でも相続人となります(ただし、内縁関係は除く)。

子供がいる場合の法定相続分は、配偶者が1/2、子供が1/2となります。
子供が複数人いれば、財産の1/2を人数で割ります。
子供が既に死亡している場合は、その子である孫が代襲相続します。

しかし、子供がいない場合、財産がすべて配偶者のものになるかというと、そうではありません。

もし、相続人の親がいる場合の法定相続分は、配偶者が2/3、親が1/3。
両親二人ともご健在ならば、その1/3の財産を二等分します。
もし、両親ともに死亡しており、祖父母がご健在ならば祖父母が相続します。

さらに、被相続人に子供も親もいない場合の法定相続分は、配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4になります。
兄弟姉妹が複数人いれば、その1/4の財産を人数で割り、既に死亡している兄弟姉妹がいれば、その子である甥、姪が相続します。

財産を渡したくない親族が一人でもいるならば遺言が不可欠

子供がいない夫婦の場合、親や兄弟姉妹、さらに甥、姪が相続する可能性があるのです。
この範囲内で「この人に相続財産がいくのは納得しない」という親族はいらっしゃいますか。
もし、そうした親族が一人でも存在するのなら、遺言書を作成することをおすすめします。

通常、遺言によって、特定の相続人に財産が多く渡ったり、特定の相続人に財産が渡らないことになっても、被相続人の配偶者、子や孫などの直系卑属、父母、祖父母などの直系尊属は遺留分権利者となっております。
もし、遺言によって遺留分を侵害されても、遺留分減殺請求権によって、遺留分の範囲内で遺産を取り戻すことができます。

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は遺産の1/3、その他の場合は遺産の1/2となります。

しかし、兄弟姉妹にはこの遺留分減殺請求権がありません。
どうしても自分の財産を相続してもらいたくない兄弟姉妹がいる場合、遺言によってその旨を記すと、財産が渡ることがなくなります。

一方、どんなに財産を渡したくない兄弟姉妹がいても、遺言を書かなければ、その意思が反映されません。
法定相続人に法定相続分の財産が分けられてしまうのです。

親や兄弟姉妹と疎遠だったり不仲だったり、確執が続いているケースは少なくありません。
また、兄弟姉妹とは仲が悪くなくても、その配偶者や子供まで視野を広げると、財産が相続されることに抵抗を感じるケースがあるかもしれません。

子供がいない夫婦こそ、愛する配偶者のため、お互いに遺言書を作成することをおすすめします。
それが最後にできる愛情表現なのです。