相続の手続きを円滑にする遺言執行者のメリットと注意点とは?

相続の手続きを円滑にする遺言執行者のメリットと注意点とは?

相続人の数が多い場合や、相続人同士が揉めてしまい、円滑に相続手続きが進まないことが早い段階からわかっている場合の対策として、親族や専門家を遺言執行者に選任する方法があります。

そこで、誰を遺言執行者にすればよいのかをはじめ、それぞれのメリットと注意点について、紹介します。

遺言執行者のメリットと
選任が必要となるケースとは?

遺言執行者とは『遺言の内容を実現する人』のことをいいます。

たとえば、遺言書で『長女に預金を相続させる』などと相続人と相続財産を指定していたとしても、金融機関で手続きを行うときには、原則として相続人全員の印鑑証明書が必要になるなど、ほかの相続人の協力が不可欠です。しかし、あらかじめ遺言執行者を選任しておけば、ほかの相続人から印鑑証明書をもらわずに、基本的な相続手続きを進めることができるため、スムーズに財産承継ができるというメリットがあります。

遺言執行者は必ずしも選任しなければならないわけではありませんが、遺言書のなかで子どもの認知が行われた場合や、相続人の廃除または廃除の取消が行われている場合には、遺言執行者を選任しなければなりません。もし遺言書のなかで遺言執行者が選任されていない場合、家庭裁判所で選任することもできます。

親族、専門家を選定した場合の
それぞれのメリットと注意点

遺言執行者は長男や長女、配偶者などの相続人や親族に依頼するケース、弁護士や司法書士、税理士といった専門家に依頼するケースがあります。

●親族を選定したときのメリットと注意点
事情を知っている親族を遺言執行者に選定すれば、段取りが円滑に進むというメリットがあります。ただし、相続財産が多い場合は手続きが煩雑になるため負担が大きいことや、ほかの相続人とのやり取りで精神的に疲弊する可能性もあるため、その場合は第三者がよいでしょう。

●専門家に依頼したときのメリットと注意点
専門家に依頼することで相続人や親族の手間が軽減します。ただし、被相続人が相続人に相談せずに遺言執行者を選任している場合は相続人との間でトラブルになる可能性もあります。あらかじめ相続人には伝えておきましょう。

以上の注意点を踏まえ、誰を遺言執行者にすればメリットがあるのかを考えて選出しましょう。