相続はいつ発生するか誰にもわかりません。
ときには、夫の相続が発生し、遺産分割協議や相続手続きが終わらないうちに、妻や子が亡くなってしまうというケースがあるかもしれません。
このように、被相続人が死亡して相続が開始したものの、遺産分割協議が完了する前に相続人が死亡して二次相続が始まることを「数次相続」といいます。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。
相続人が1人でも欠けた状態で協議を進めると、遺産分割協議そのものが無効になります。それゆえ、相続手続きにおいては、誰が相続人なのかを確定させることが非常に重要です。
数次相続が起きると、新たな相続人が増える可能性があります。
例えば図のように、父Aが亡くなり相続が発生したとしましょう。
Aの相続人は、母Bと長男C、次男Dの3人になります。ところが、Aの相続の遺産分割協議が終わる前にCが亡くなると二次相続が開始します。Cの死亡により、Cが相続するはずであった遺産は、Cの相続人にあたる妻E、孫F、Gが相続することになります。そうなると、Aの相続の遺産分割協議をB、D、E、F、Gの5人で行う必要があります。そして、別途にCの相続の遺産分割協議をE、F、Gの3人で行うことになります。
Aの相続の遺産分割協議書を作成する場合、すでに亡くなっている相続人Cの欄には「相続人兼被相続人C」といった形式で記載されます。これで数次相続が発生していることがわかります。
Cは亡くなっているため、Aの相続の遺産分割協議書に署名・捺印ができません。代わりにCの相続人E、F、Gの3人が署名・捺印を行うことになります。協議書にも「相続人兼被相続人Cの相続人E」というように記載します。
数次相続は、親族が短期間に相次いで亡くなると発生しますが、相続手続きを放置していて起こる場合もあります。
相続手続きが放置される原因の大半は、遺産分割協議が難航している点にあります。相続のつど遺産分割をしておかないと、相続人が増加し、権利関係がますます複雑になります。
専門家の力を借りて、問題解決にあたりましょう。
相続・贈与について気になることがあれば、お気軽にご相談ください。