国税庁の調査によれば、相続財産の40~50%が土地や建物となっています。
相続税の節税対策をするためにも、所有する不動産はどれくらいの相続税評価なのかを知っておくことは大切です。
不動産は土地と建物で相続税の評価となる基準が違います。
今回は、土地や建物の相続税を計算する基準となる評価額についてご紹介します。
まず、不動産の評価基準には、公示価格、基準地価、路線価、固定資産税評価額などがあります。
これらの基準は、不動産鑑定士が法令に基づき調査した鑑定評価額等がベースとなっています。
・公示価格、基準地価
公共事業用地の取得等の指針となるもので、公示価格は毎年1月時点での価格を3月に国土交通省が、基準地価は7月時点での基準値の価格を9月に都道府県が、それぞれ公表しています。
・路線価
路線価とは、路線(不特定多数が通る道路)に面した土地の1㎡あたりの価格です。国税庁が毎年7月に公表し、公示価格の8割前後が基準です。
・固定資産税評価額
固定資産税等を算出するための価格で、公示価格の7割前後が基準となっています。
これらの中で、相続税で主に使われるのが路線価と固定資産税評価額です。
最もシンプルな路線価を使った土地の価格の計算方法は、【1㎡あたりの路線価×土地の面積】です。
さらに土地によっては二つの道路に面しているものや細長い形状のもの、借地権がついているものなど、いろいろな特徴があります。
最終的には、それらも考慮して計算しなければなりません。
路線価が設定されていない地域では、倍率方式という計算方法を使用します。
これは、たとえばその土地の評価倍率が1.1倍ならば【固定資産税評価額×1.1】として計算します。
一方、建物の場合は固定資産税評価額を用いて計算します。
建設中で固定資産税評価額に反映できない場合は、建物の課税時期までにかかった額の7割が評価額となります。
小規模宅地の特例などが使えない空き家は、賃貸に出すことで評価額を約7割まで抑えられます。
2018年に相続法の改正案が成立し、被相続人の配偶者に自宅建物での居住継続する権利を認める配偶者居住権が創設されました。
この制度では、配偶者居住権とそれ以外の「負担付き所有権」に分けて建物・土地を評価。「負担付き所有権」は配偶者居住権の部分が差し引かれて評価されます。
不動産の評価額を低く抑えると、相続税を節税できます。
上記の評価額の決め方を正しく理解し、減額できる点があれば、できるだけ反映させるようにしましょう。
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