離婚が先か贈与が先か? 配偶者に財産を渡す際の流れ

離婚が先か贈与が先か? 配偶者に財産を渡す際の流れ

夫名義の自宅不動産を妻に生前贈与したのち、間もなく離婚することになってしまった場合、

渡した不動産に関する贈与税は課税されるのでしょうか?

もしくは、離婚後に不動産を贈与する方が理想的なのでしょうか。

渡すタイミングによる課税金額の違いについて解説します。

 

夫婦間の贈与にも贈与税はかかる

 

誕生日やクリスマスなど、配偶者にプレゼントを贈る機会は都度ありますが、

夫婦間の贈与にも贈与税はかかります。ただし、全てに対してではありません。

夫婦間や家族間にはお互いに扶養義務があるため、原則として、生活費や教育費に充てるための財産で、

その人が暮らすために必要な範囲であれば、夫婦間の贈与に贈与税はかかりません。

しかし、不動産のような高額な財産となれば、

暮らしに必要な範囲とはいえないため、基本的には課税対象となります。

ただし、贈与税には『配偶者控除』が設けられており、

基礎控除額110万円のほかに最高2,000万円の配偶者控除が受けられます。

贈与税の配偶者控除が適用される要件は、以下のとおりです。

 

●婚姻期間が20年以上であること
●その夫婦が今までに配偶者控除を受けていないこと
●居住用不動産または居住用不動産を購入するための資金のいずれかの贈与であること
●贈与を受けた年の翌年3月15日までにその居住用不動産に居住し、その後も居住し続ける見込であること
●贈与税の申告をすること
●法施行地に有する土地等又は家屋であること

 

ただし、贈与税の配偶者控除は結婚している間の贈与に対して適用されます。

離婚したあとで自宅不動産を元配偶者に贈与する場合は控除措置の対象外となり、

定められた贈与税がかかります。

 

離婚時の財産分与には、原則として贈与税がかからない

 

このように、夫婦間で行う不動産の生前贈与は、

離婚前に贈与したものか離婚後の贈与となるのかによって、贈与税の額が大幅に変わってきます。

したがって、配偶者に不動産を渡す意思がある場合は、離婚時の財産分与が有効です。

なぜなら、離婚時の財産分与には、基本的に贈与税はかからないからです。

婚姻中に築いた財産は夫婦の共有財産であり、離婚後の生活に必要なものとして扱われます。

離婚時に金品を渡す場合は『贈与』ではなく『分与』の扱いになります。

 

財産分与請求権には離婚してから2年の除斥期間が定められています。

また、財産分与のつもりでいても、状況によっては贈与と見なされることがあります。

以下に当てはまるケースでは、離婚時でも贈与税が課税されることがあります。

 

●分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額や、その他すべての事情を考慮しても、なお多過ぎる金額の場合※多過ぎる部分が課税の対象となる

●離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合

 

また、財産分与が土地や建物などで行われたときは、分与した人に譲渡所得の課税が行われることになります。

「贈与に関する知識不足のために贈与税の対象となってしまった」となるケースは少なくありません。

一度贈与したものを取り消すことはできないので、

夫婦がお互いに贈与に関する知識を知っておくことが大切です。

 

 

長期的な資産形成のために海外資産を併用してみよう

海外資産への投資は高い金利や為替差益を狙うなど、リターンを追求する場合に向いている方法といえます。

また、金融資産はできるだけ分散しておくことで、万が一のときのリスクヘッジにも役立ちます。

今回は、魅力の多い海外資産について説明します。

 

どんな仕組みになっているの?外貨預金や海外投資

 

日本国内で流通している資産としては、国内株式や日本国の国債、

日本に拠点を持つ法人の社債や不動産などがあげられます。

一方、海外資産とは、海外株や、外国債、外国の不動産などがあげられます。

では、それぞれ見ていきましょう。

 

●外貨預金

外貨預金とは、日本円を海外の通貨に交換して運用する銀行預金の一種です。

日本と海外では金利が異なり、一般的に日本よりも海外の方が金利が高い傾向にあります。

また、通常の普通預金等よりも高い利息をもらうことができますが、

銀行預金とはいえ入金時の為替レートによってはマイナスになる可能性もあるので注意が必要です。

 

●外貨MMF

外貨建ての公社債投資信託です。MMFの主な投資対象は国債や公社債、

短期金融資産など安全性の高い資産に限られる為、元本割れすることは滅多にありません。

また通常、国債や銀行預金等の元本保証の金融商品と比較して高いリターンが見込めます。

外貨建てMMFでは投資信託自体で得られる利益に加えて為替差益も手に入るのが特徴です。

 

●FX(外国為替証拠金取引)

FXも為替差益を狙う金融商品です。ほかの金融商品と違う点は『証拠金取引』であることです。

口座に預けた自己資金(証拠金)を担保とすることで、資金の何倍もの金額を取引でき、

実際の資金額が少なくても、取引した額に応じた為替差益などを得ることができます。

 

海外での資産運用も日本の窓口を使うことができる

 

海外資産であっても、国内の証券会社が取り扱っている金融商品であれば

国内の証券会社で購入して保有できますし、外貨預金は国内のほとんどの銀行で取り扱いがあるため、

最初のハードルとしては高くありません。

通常の株式投資や投資信託などと同じ手順を踏めばいいといえます。

 

ただし、金融商品のなかには国内の証券会社で取扱がないものもあるため、

その場合は、海外の証券会社に口座を作る必要があります。

ただし、アメリカなど一部の国においては、

外国人の口座開設を受け付けていないこともあるため、注意が必要です。

利回りが高いものがあったり、分散投資ができることなど、メリットもある海外資産。

一方で、為替相場の変動によるリスクや、為替手数料が発生することも忘れてはいけません。

資産運用のひとつとして、まずは少額から始めてみるとよいでしょう。

 

 

『法定相続分』とは? 相続人の範囲と計算方法

相続人の範囲や、それぞれの相続人が相続できる財産の割合は、民法によって定められています。

遺言書もなく、相続人間で特に取り決めが行われなかった場合は、 法定相続分に準じて相続の手続きを進めます。

今回は、相続割合について解説します。

 

民法が定める『法定相続分』 それぞれが相続できる割合は?

 

相続人の範囲や法定相続分は、民法で定められています。

ただし、相続人の同意があるなら、法定相続分とは違う分け方も可能です。

基本的には相続人全員で遺産分割協議を行い、取り決めた内容で相続手続きを進めることができます。

遺言書があれば、遺言書の内容が優先されます。

法定相続割合はあくまで遺言書が無い場合や、遺産分割協議が行われなかった場合に、

各相続人の取り分として法律上定められた割合をいいます。

民法が定める法定相続の割合は次のとおりです。

 

●配偶者と子供が相続人である場合
配偶者が1/2、子供が1/2(子供が2名以上いる場合は、この2分の1をさらに子供の数で等分)

●配偶者と直系尊属(父母や祖父母)が相続人である場合
配偶者が2/3、親等の一番近い直系尊属が1/3(複数いる場合は、その1/3を等分で)

●配偶者と兄弟姉妹が相続人である場合
配偶者が3/4、兄弟姉妹が1/4(複数いる場合は、その1/4を等分で)

 

遺留分によって明らかな不公平を防ぐ

 

遺産相続は、時として、親族等の間に争いを生むこともあります。

たとえば、被相続人が遺言書で「長男に遺産を全て渡したい」とか、

「愛人に遺産の全てを渡す」といった意向を示しているケースです。

その遺言書通りにしたら、配偶者や子供たちにとっては、理不尽なことになってしまう可能性があります。

こうした理不尽を防ぐため、配偶者や子供たちなど兄弟姉妹以外の法定相続人については、

最低限度、受け取れる財産の割合が『遺留分』として保証されています。

 

万が一、遺留分を侵害された場合、

相続人は、『遺留分侵害額請求権』を根拠に遺留分を請求することが可能となっています。

また、相続財産に対する遺留分の割合は、さきほどの法定相続の割合×2分の1と定められています。

これにより、遺族の生活を一定の範囲で守ることができるのです。

ただし、遺留分侵害額請求権は、

相続開始及び遺留分を侵害する贈与または遺贈があったことを知った時から1年、

もしくは相続開始の時から10年を経過すると時効で消滅するため注意が必要です。