子どもや孫の新居の購入をきっかけに相続税対策ができる仕組みとして注目を集めている「住宅取得等資金の贈与の特例」。非課税となるには条件があり、注意が必要です。
今回は本制度の特徴とメリットをお伝えいたします。
父母や祖父母が子や孫に住宅購入資金を贈与した場合、贈与された人一人につき、法律で決められた金額までは贈与税が非課税になるという制度です。対象となる受贈者は、20歳以上の直系卑属で合計所得金額が2,000万円以下等の一定の要件を満たす人。対象となる住宅は次のような条件を満たす住宅です。
家屋(区分所有の場合は区分所有する部分)の登記簿上の床面積が50㎡以上240㎡以下で(東日本大震災の被災者は床面積の上限なし)、かつ、その家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住の用に供されるもので次のいずれかに該当すること。
①建築後使用されたことのない住宅
②中古住宅の場合は、築20年以内(耐火建築は築25年以内)であること
③一定の耐震性能の証明書を備えたものなど。
①自分の居住用家屋で、一定の要件を満たす増築や改築、大規模修繕、大規模な模様替えで『検査済証の写し』など書類で証明されたもの。
②増改築などの工事費用が100万円以上であること。
③増改築後の家屋の床面積の2分の1以上が受贈者の居住用であること。
④増改築後の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
この制度は、暦年課税や相続時精算課税制度の基礎控除と合わせて活用ができるので、大きな金額を贈与したい場合に有効です。
具体的には、贈与金額から『住宅取得等資金の贈与の特例』の非課税枠を減額し、残った金額を暦年贈与の非課税枠や相続時精算課税制度の非課税枠に充当して差し引きます。
注意点としては、一度、相続時精算課税制度を利用すると、暦年贈与の110万円の非課税枠が使えなくなることです。
そのため、合わせて利用する際には、事前のシミュレーションをした上で検討できるよう、信頼できる専門家にご相談ください。