「今年の路線価」はいつ使う? タイミングとスケジュール管理

相続税の計算に欠かせない「路線価」は、毎年7月初旬に国税庁から公表されます。最新版の発表前に相続が開始したときは、いつの路線価を使うべきなのでしょうか。今回は、路線価の適用ルールと実務上の注意点について解説します。

基準は「相続開始日」の年分 年初の相続は「公表待ち」に

路線価は毎年改定されるため、土地の相続税評価額を算定する際に、どの年の路線価を適用するのかが重要になります。
 路線価は、毎年1月1日を評価時点とし、原則、その年の7月初旬に国税庁から公表されます。そして、公表された年の1月1日から12月31日までの間に、相続や遺贈、贈与によって土地を取得した場合の土地の評価額の算定に適用されます。
 したがって、相続税を計算する際は、路線価の公表時期にかかわらず、原則として「課税時期(相続開始日)」の属する年分の路線価を使用しなければなりません。
 たとえその年の路線価が公表される前に相続が開始したとしても、前年の路線価を流用することは認められず、7月に公表される最新の路線価を適用するのがルールです。
 たとえば、2026年の春に亡くなった場合、前年分ではなく、2026年7月に公表される最新の路線価を使用します。
 このため、1月~6月に相続が開始した場合、その年分の路線価が公表されるまでは、土地の評価額を確定させることができません。相続税の申告を早期に進めたくても、7月に路線価が公表されてから、最終的な計算をし、相続税の申告をすることになります。
 このように、1月~6月に相続が開始した場合には、路線価が公表されるまで、相続税申告書は完成できないこととなります。
 そのため、相続税の申告期限内にしばらく「路線価の公表待ち」の期間が生じる点に注意が必要です。

申告期限は「10カ月以内」 公表後の慌ただしさを防ぐ準備

相続税の申告期限は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った日の翌日から10カ月以内」と定められています。
 なお、申告期限が土日や祝日、年末年始の閉庁日などに該当する場合は、その翌日が期限となります。
 たとえば1月1日に相続が開始した場合、相続税の申告期限は原則として同年11月1日となります。
 このケースでは、7月初旬にその年の路線価が公表されてから相続税の申告期限まで、わずか4カ月程度しか残されていません。公表後にすべての作業を開始していたら、相続税の申告スケジュールは極めてタイトになってしまいます。
 そこで、単に路線価の公表を待つのではなく、事前準備を並行して進めることが重要です。
 土地評価においては、現地調査による不整形地などの減額要素の把握、公図や測量図といった資料収集、権利関係の確認などを事前に済ませておくことができます。
 また、預貯金や有価証券など土地以外の財産評価のほか、相続人の確定に必要な戸籍謄本などの収集、遺産分割協議の進行、小規模宅地等の特例要件の確認も進めておきましょう。
 路線価は「課税時期の属する年分」を適用するため、特に1月~6月に相続が開始した場合は、相続税の申告期限を逆算したスケジュール管理が非常に重要になります。
 円滑に申告を終えられるように、早めに専門家へ相談し、事前準備をしておくことをおすすめします。