できが悪い子供に資産を残したくない場合はどうする?

できが悪い子供に資産を残したくない場合はどうする?

「定職に就かず浪費癖がある」「日ごろから親族に暴力をふるう」というような子供には、財産を渡したくないというのが心情です。
では、特定の相続人に財産を遺さないようにするにはどうすればいいのでしょう?

※記事内の名前はすべて仮名。設定は実話に基づき一部脚色しています。

松田研介(仮名)さんと百合子(仮名)さん夫妻は、地道に中華料理店を経営。
次男の大介(仮名)さんと一緒に、地域の人気店を日夜切り盛りしています。

一方、長男の強介(仮名)さんは仕事が定着せず、家の世話になっている状態。
研介さんが「就職活動しているのか?」と注意するとすぐ逆上し、暴力をふるうありさま。
研介さん夫妻は「死んでも強介には財産を渡したくない」と口をそろえています。

相関図

この場合、強介さんに親の遺産を渡さないようにするには、何か方法はあるのでしょうか?

「裁判所の許可」「本人の了承」というハードルがある

子供の非行を原因とする「勘当」という制度は、現在は存在しません。
現民法でこれに似たものとしては、相続人排除の制度があります。

遺留分を有する推定相続人(配偶者、子、孫など)が、被相続人である親などに対して、虐待をしたり、重大な侮辱を行ったり、または著しい非行があったとき、被相続人はあらかじめ、家庭裁判所に推定相続人の廃除を請求することができるものとされています(民法第892条)。

このように相続人の排除には裁判所の許可というハードルがあります。
単に「子供が親の財産を使い込んだからとか」「気に入らない相手と結婚するから」などの理由では通りません。

遺言を作成して、特定の相続人だけに財産を残すことはできます。
しかし、遺言でも侵害することのできない相続人の権利に、遺留分減殺請求権があります。

相続開始後、財産を残したくない子供に遺留分の放棄をお願いし、それが受け入れられれば、特に手続きは必要ありません。
遺留分を侵害している相続人や受遺者、受贈者に対して「遺留分を放棄します」と意思表示さえすれば、有効なものとしてみなされます。
後々のトラブルを防止する意味でも、遺産分割協議書などの書面にしておくことです。
しかし、すんなり放棄してくれるでしょうか?

遺留分の放棄に似たものに、相続の放棄があります。
しかし、被相続人の生前に相続を放棄することはできません。

そこで「相続開始前に遺留分の放棄ができるか」ということになります。
こちらの放棄に関しては、やはり家庭裁判所の許可が必要になってきます。
家庭裁判所から子供が審問期日に呼び出され、面接を受けることになります。

結論としては、生前に遺留分減殺請求を確実に消すには、「遺言+遺留分放棄」が必要となります。

POINT

・特定の相続人に財産を渡さないためには、相続人排除制度がある
・相続人の排除には裁判所の許可がいる
・生前に遺留分減殺請求を確実に消すには、遺言+遺留分放棄が必要

記事提供:相続・贈与相談センター本部
税理士法人エクラコンサルティング