不動産所得が気になる方は同族による法人設立を検討しよう

不動産所得が気になる方は同族による法人設立を検討しよう

ご先祖様から受け継いだ不動産を賃貸住宅、貸店舗、駐車場などいろいろと活用し、不動産所得が増えている方はいらっしゃいませんか。
そうした収入は、将来の相続税の課税対象として蓄積されていきます。
「相続税が気になる」という方は、同族による不動産保有会社の設立を視野に入れてみてはいかがでしょう。

収益不動産物件から生じる所得は、物件の所有者に帰属します。
個人が所有する不動産物件の場合には、収入が個人に集中し、所得が多くなってしまいます。
すると、所得税や住民税の負担も当然重くなります。所得が蓄積されると財産が増大し、将来の相続税負担が大きくなる可能性があります。

そこで節税対策として考えられるのは、同族による不動産会社の設立です。

不動産会社を設立するメリットは、以下が考えられます。

・本来不動産所有者に入る収入が会社に入り、個人財産の蓄積を防げる
・出資者を将来の被相続人以外にしておけば、会社の株式が相続税の対象にならない
・会社に収益がたまれば、会社を通じて相続税の納税資金の準備ができる
・会社の勤務実態さえあれば、給与を支払うことで、所得を複数の人間に分散できる

不動産会社には、大きく分けて「不動産管理会社」「不動産保有会社」の2パターンあります。

「不動産管理会社」は、会社が不動産管理を行い、収入金額の10~15%程度の管理料を受け取ります。
ただし、近年は税務調査で管理業務そのものを会社として実際に行っているのか、管理料の金額が妥当なのか等が問題となることが多いです。
また、会社に移転できる所得が少額な場合には、コストが節税メリットを上回ってしまう可能性があります。

一方、「不動産保有会社」は、個人が所有していた賃貸不動産の建物を会社が取得し、管理運営を行います。
敷地(土地)は個人のままです。会社が建物そのものを所有するので、家賃収入は100%会社に入ります。
個人は地代収入のみ。収入の分散効果はこちらのほうが大きいでしょう。

親族が役員や従業員の場合は勤務実態がチェックされる

こうした不動産会社を設立するにあたっては、次のような注意点があります。

・会社設立費用がかかる
・個人所得と法人所得とに区分して計算・管理する必要がある
・扶養家族に給与を払えば、社会保険に加入しなければならず、保険料や手続きの負担がかかる
・会社が赤字でも法人住民税の均等割がかかる
・決算・申告のための税理士費用等が必要になる

不動産管理会社にせよ、不動産保有会社にせよ、親族が役員や従業員として給与の支払いを受けている場合は、勤務実態の有無が税務調査でチェックされます。
日報や業務日誌等をきちんと記載し、掃除や点検を定期的に実施している場合には、点検記録簿や家賃等の集金管理簿などを定期的に記録している証拠を残すことが求められるでしょう。

同族による不動産会社の設立には、綿密なシミュレーションが必要です。