相続で貧乏にならないために覚えておきたい相続の〆切

相続で貧乏にならないために覚えておきたい相続の〆切

相続は誰もが一度は経験する人生の一大イベントです。
しかも、相続の内容次第では、その後の自分の人生が大きくプラスになることもありますし、マイナスになることもあります。
だからこそ、相続をされる方も、相続をする方も当事者意識を持って取り組まなければならないものなのです。

自分の人生の大切なイベントとして相続を捉える

2015年1月以降は相続税の基礎控除が大幅に削減され、今まで相続税を支払わずに済んだ人たちも、相続税を支払わなければならなくなることが予測されています。
相続税は原則的に現金で納付しなければならないので、まず納税資金を用意する必要が出てきます。
相続税が多額の場合、節税対策も考えられるでしょう。
しかしながら、相続税を節税するためには、申告が条件になっている特例がほとんどです。
申告には事前準備が必要ですので、自分には関係がないと見て見ぬ振りをすれば、大きな負担になることも少なくありません。

人生の一大イベントである相続を自分にとってプラスのイベントにするためには、何よりもまず自分のこととして相続を捉えることが重要になります。

とはいえ、相続はさまざまな知識が必要で何から学んでいいのかわからない、という人もいるかもしれません。
そこで、今回はまず相続というのは、そもそも何をどうすることなのかを学んでいきたいと思います。

死亡した日は手続き上、非常に重要

相続をひと言で表現するならば、「権利や義務を受け継ぐ」ことになります。
相続人とは亡くなった人の財産を引き継ぐ人のこと。
一方、被相続人は相続をされる人、亡くなった人のことを言います。

相続が私たちの人生にとって一大イベントであるゆえんのひとつは、相続の時期がいつになるのかわからないということです。
なぜならば、相続は自分の親が死亡することによって開始するからです。
相続は突然、発生するのですが、準備をすることはできます。
相続の結果が皆にとってプラスになるイベントになるのか、それとも、後々、マイナスになるイベントになるのかは、事前準備にかかっているともいえるでしょう。

たとえば、相続がスタートした日を正確に覚えておくというのも、事前準備のひとつに含まれます。
というのは、相続税の節税のための特例を活用するためには、相続が開始されてから10カ月以内と決められた期限のうちに申告を済ませなければならないという条件があるのです。
死亡日が正確に覚えていなければわからなければ当然、提出期限もわからないということになります。
1日違いで重要な申請が通らなかったでは取り返しがつきません。

一般的には、戸籍に記載された死亡日が死亡のときと推定されるので、死亡日が相続がスタートする日になります。

被相続人が行方不明の場合は失踪宣告をする

「死亡日」といっても、行方不明になり、何かの事故に巻き込まれて亡くなってしまったり、海や山で遭難したりした人は、いつ亡くなったかはわかりません。
死亡日が確定されないというケースに備えて相続にあたっては、「死亡」は、1.自然死亡2.失踪宣告による死亡で定義づけされています。

1.自然死亡

自然死亡は、病気や老衰により、自宅や病院で亡くなる普通の死です。
亡くなられたときにはその証明として「死亡診断書」を病院でもらいます。
相続の手続きにあたって必要な「死亡届」は、死亡の事実を知った日から7日以内(国外で死亡があったときは、その事実を知った日から3ヶ月以内)に死亡診断書を添付して市区町村役場へ提出します。
手数料はかかりません。

2.失踪宣告

生死不明の者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度になります。
なお、失踪宣告後に失踪者が生存していた場合には、失踪宣告は取り消されます。
失踪宣告は、次の事由による利害関係人の請求によって、家庭裁判所が失踪宣告をします。

■普通失踪

不在者の生死が、7年以上明らかでないこと。
この場合、7年間の期間が満了したときに死亡したものとみなされます。

■危難失踪

戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中にした者、その他死亡の原因となる危難に遭遇した者の生死が1年以上明らかでないこと。
この場合、危難が去ったときに死亡したものとみなされます。

失踪宣告の手続きは、家庭裁判所で失踪宣告の「申立て」をします。
審判が確定するまでの期間は約1年です。
失踪宣告の審判が確定すると、不在者は失踪期間満了のときに死亡したとみなされます。

このとき、審判確定の日から10日以内に市区町村役場(本人の本籍地または届出人の住所地)へ失踪届を出す必要があります。
相続開始の日は、失踪宣告の審判が確定した日ではなく、危難が去ったとき(戦争終結後、沈没後、その他の災難が去ったあとなど)に死亡したとみなされます。
なお、失踪宣告の申立てをしなければ、財産の相続だけでなく、生命保険の死亡保険金なども受け取ることができません。
被相続人が行方不明の場合は失踪宣告をすることが重要になります。